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ほぼデスゲーム終わり

 あと1話、余談を残して古代中国デスゲームは終わりです。ハートマークや星評価、何よりお読みいただきありがとうございます。

 宙に浮いていたこの話を出すきっかけになったので、このデスマーチのようなカクヨム企画は良かったのでしょう。反面、あまり煮つめていない話を勢いでお出ししてしまったなあ、という後悔も少しあり。

 デスゲームのくせに盛り上がりに欠けるのは、私の力量足らぬところです。もう少し、ぎりぎり追い詰められて大逆転! みたいなことしたかったんですけど、まあゲームに振り回されましたね。

 次話でゲームの説明しつつ、小説として入れられなかった荀罃さんの有名な逸話を紹介します。荘王の息子、共王との逸話です。まさに余談。

 荀罃はちまちま逸話はありつつ、9年間の虜囚と帰国が最も有名です。次に有名なのが、士匄ネタです。
 以下。

 左伝襄公十年。戦陣にて。
 ある小国を滅ぼして宋の向戌(しょうじゅつ)に差し上げたい! と士匄と荀偃が言い出しました。向戌がねだったわけでもないのでこの経緯は謎です。
 荀罃は『あの城は固い。小国を落としても自慢にならないし、落とせなかったら物笑いの種だ。やめなさい』と止めます。都市国家を陥落させるのはとても難しいわけです。が、士匄たちは敢行します。
 なんとも落とせません。士匄たちは荀罃に進言。
『氷雨の季節になれば帰ることもできません。兵を引きましょう』
 荀罃はこの言い草にぶちきれ、手元にあった肘付きを投げました。士匄と荀偃の間を通っていったそうです、すごい勢いやな。
『止めてもお前たちがやり始めた』
『弱音を吐いて私に罪をなすりつけるのか』
『知伯がやめろと言ったからだ、本来なら勝てたとでも言うだろう』
『あと7日で落として来い』
 怒り心頭な荀罃の言葉に震え上がったのか、士匄と荀偃は自ら兵を率いてだいたい5日ほどで落としました。もちろん、向戌は受け取りませんでした。いやだってさあ……おおごとになりすぎてますし……。
 発言の内容が士匄の性格を表している&この時は士匄が席次が上なので、主犯は士匄でしょう。
 この逸話のせいで、荀罃は肘掛け投げつけた人、の印象がとても強くなってます。

 荀罃の逸話は士匄や韓厥など、派手な人がくっつきすぎている。虜囚の逸話も荘王の息子である共王との逸話で有名だったりするのです。人の逸話は一人で成り立たないものですね。

 荀罃が楚に対してどう思っていたかはわかりません。しかし、二十代のほとんどを楚で過ごしたし、荘王というおおいなる巨人を知ったことでしょう。荀罃の人生を通し、接した一番の名君が荘王です。なんらか、感傷はあったかもしれません。

 複雑な経歴を持つこの人は、晋の正卿としてのぼりつめてますが、時代の階層に埋没しています。それを掘り起こして、彼の人生にデスゲームくっつけた話は、大変でしたが書いていて楽しかったです。尿ネタ入れれましたしね。

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