• 歴史・時代・伝奇
  • SF

冬が来たりて夢幻の旅路編、完結。

青春怪異譚、冬の章である『冬が来たりて夢幻の旅路』完結しました。以下、この章のネタバレばかりです。
https://kakuyomu.jp/works/16817330651050151305/episodes/16818093081415279128

幾度かの傷病もあって、難産でございました。
春はチュートリアル。
夏は怪獣大戦争。

この夏を受け、秋はシティアドベンチャー的なものを考え、閉鎖空間での殺人事件にしました。いわゆる、出られない孤島や屋敷で殺人事件が起きるアレ。

ここから冬はラストということで、オープンフィールドでの彷徨とする、から話を作り始めたものです。最後なので士匄と趙武2人だけの話にするというのも決めてました。春の章との対比です。山神という人懐こい神と、道祖という無関心の神でした。

道祖神は、白川静の本をある程度参考にしたのですが、道祖神そのものの性質について、異界と人界の境界神以外の情報が少なかったため、ギリシア神話における原ヘルメス神を参考にしています。人格神になる前のヘルメスは棒型の道祖神で、生と死、敵と味方、異界と人界の境界神です。冷厳さ、無機質さなどはこちらを参考にしております。ヘルメスますます好きになった。
どちらにせよ、世界的に道祖神はほぼ同じ性質ですね。

士匄という主人公は最後まで成長しないという前提で書いています。多少の変化はありますが、成長というわけではない。この冬の話で、一皮むけてしまったようにならないよう、気をつけました。

逆に趙武は成長する未熟なキャラクターとして書いてました。春の時点で幸せの世界を見せられたら同化していたと思います。きちんと成長し、過去のしがらみと決別した、という感じが伝わってればいいな、と思います。

いやでも、趙武が幻の家族と別れるセリフを書いている時、私はもらい泣きしてました。誰からも愛されず独りで生きますなどと、二十歳ちょっとの青年が宣言するのは、辛かったです。
玉璽という先祖からの加護(そして恩人の形見)さえ捨てて生きるそうです。お前の人生に幸あれ……。

士会がまたゲスト出演しておりましたね……。
外部助っ人を私は好まないので、この構想を捨てるかどうかかなり悩んだのですが、戦闘手順や戦力差、装備品を考えると、どうしても足りない、となり、しぶしぶそのまま書きました。ご都合に見えたら嫌だなあ、というのが本音です。一応、士匄はかなりの無理押ししてたので、許してほしい。
今回の士匄バフ盛りは、無理筋の無理を攻めるペテンに近いものでした……。

春の話は山神への敬意ある言上でしたので、最後は逆にすると決めてました。言上、めちゃ死ぬと思った。
言上シーンてただでさえ言葉しかないのに、拝礼の仕草もないから、棒立ちですよ。動きねえ〜!きったはったなアクションができないんですよね。そんなん人間は即死ですもん。
言上も、上から目線のものを考えねばならなかったので、言葉を選んだり探すのに苦労しました。易経、書経、老子から引用しました。老子は戦国期の人なのですが、内容に春秋時代の習俗も見受けられるので、使ってます。秋の玄牝とかね。士匄の言上にはなるべく近い時代のものを使うというルールを設けてますので、例えば荘子や韓非子などの諸子百家は使ってません。五行も陰陽家ではなく書経周書から使ってます。
た、楽しんでいただけたら嬉しいです、ゲボ。

最後の欒黶オチ。
非日常から日常に戻った、という話です。欒黶は事件にほぼ関わらないキャラと決めておりました。体質として難しいのもありますし、あの性格なので極めて迷惑になります。笑ってしまうことですが、この話の日常の象徴は欒黶なのです。なんということだ。
欒黶と士匄が幼馴染というのはこの話の大いなるフィクションですが、そもそも士匄が霊感体質というのも大いなるフィクションなので、良いのです。

冬の話が夏に終わるとかもうギャグですが、お待ちいただいた方、お読みいただいた方、ありがとうございます。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する