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地元自慢

「地元のいいところって地元民は分からんものよな」
「どしたん?」
「いや、マジで思い浮かばなくて」
「そっちはほら、自然が豊かとかじゃない、まずは」
「田舎だからな」

「不便かえ?」
「多くを望まなければそこまでは」
「ならいいじゃん」
「それにそこまで豊かな自然って訳でもないよ。星もあんま見えんし」
「そうなの?」
「昔見たもっと都会のはずの街の星空は綺麗だったな」
「工場とかがあるって事?」
「そこまで都会じゃないからそっち系の汚染かもね」
「淋しいなあ」

「でも、美味しいものとかはあるんじゃ?」
「地元民それが普通だから」
「あ~」
「それが当たり前だといいものって言う認識が持てないやつ」
「あるねえ~」
「とは言え、全国的に有名な何かもあるんじゃない? それを自慢すれば」
「何だなそれが」
「田舎のヤンキーかな?」

「まずはググってみなよ。色々見つかるって」
「うん、やったよ。色々見つかった」
「それだよ。そう言うのを誇ればいいのさ」
「むうううん。でももっとすごいの他地域にある気がする」
「あっていいんだよ。一番でなくていい。その土地にそれがあるってのがいいんだ。その土地の自然、建物、料理……それがやっぱり唯一無二だからさ」
「ありがとう。ちょっと元気が出てきた」


「実際、観光客とかも来るんでしょ?」
「いるかも知れんけど、あんま見た目じゃ分からん」
「まぁ同じ日本人ならねえ」
「わざわざ遠くから地元に来てみるもんなんてねえよ?」
「それは分からんよ。っていうか、見るものがあるから来てるんだってば」
「だとしてら嬉しい。おもてなしをしたい気分だよ」

「まぁ実際、地元民は地元の良さ分かってないよね」
「ずっとそれを体験しながら生きてきて当たり前になってるから」
「こう言うの、地元以外の人が気付くんだよね」
「美味しい食べ物も、そこでしか見られない景色も、建物も、他にもきっと魅力はあるんだよ」
「工業製品とか、有名なものがあるかもだし」
「地元民こそ、もっと地元を知らないとね。他の地域から来た人を案内出来るくらいにはならなきゃ」

「つまり、地元民はもっと地元に興味を持てと」
「そう言う事」
「地元なんて大した事ないとずっと思ってたから、それで自信が持てなかったんだな……」
「自信持ちなさいよ。立派だよ。何の記録に残らなくても……」
「そういや地元は住みたい田舎の全国1位だったわ」
「むっちゃ自慢ー!」

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