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深夜の多層思想

 言葉が凍りつく夜
 沈黙が秒針の音にかき消されていく
 無機質な光が街を着飾る
 いくつもの平行世界

 あの時の選ばなかった選択肢が
 今は誰かの景色になっている
 人の数は可能性の数
 耳鳴りが何かを代弁している

 光が泳いでいく
 たくさんの光が行き交っている
 眠らない人達
 眠れないこんな夜

 美しい月が見守っている
 満月の名前に願いを届けている
 世界中の迷信を信じたって
 都合の良い解釈が関の山でしかない

 心が乾いていく
 蜘蛛の糸に絡み取られて
 挙動不審の心が暴れる
 もうどこにも行けないのに

 心が幻を見せている
 チャンネルをずらして逃げている
 幻聴が導く甘い夢
 答えがどこかにあると言うのなら

 身体は正しいリズムを刻んでいる
 時間は正確に巡っていく
 結末は自分に収束していく
 その試練が不可避だと言うのなら

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