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魔導少女ぷりん 第11話

 靴を履いて2人は外に出る。玄関を出た彼女達を迎えたのは真っ青な空。雲ひとつない……と、言う訳ではなかったものの、いいお出かけ日和には違いなかった。街の案内に乗り気でなかった真宙は、青空を見上げながら大きなため息をつく。

「何でこんなに天気がいいのよ……」
「さあさあ、案内よろしくです」

 ぷりんは真宙の手を取ると強引に歩き出した。引っ張られる格好になった真宙はこの状態に納得出来ずに振り払おうとするものの、元気すぎる彼女の勢いを止められない。なので、何とか前を歩くぷりんと歩調を合わせるので精一杯だった。

「あ、アレは何ですか?」
「アレはちょっと個性的な家だよ」
「誰の家ですか?」
「知らないよ!」

 この世界に来て初めて散歩する彼女は見るもの全てが新鮮で、目に映るもの全てに興味を抱く。嫌になるくらいに質問攻めにあった真宙は、やがて静かに目の光を失っていくのだった。

「あ、アレは何ですか」
「アレは信号機、私達がこの道を進んでいいかを教えてくれる……」
「アレは何ですか?」
「アレはカラス。空を飛ぶ生き物で一番ずる賢いやつだよ……」

 げっそりする真宙とは対象的に、ぷりんの顔はイキイキするばかり。振る手の勢いもどんどん激しくなっていった。手を握られているため、強引に腕を動かされる格好の真宙は更に消耗させられていく。

「ちょ、ちょっと休ませて」
「えっ」
「ほら、そこに公園があるから、そこで休憩しよ」
「あ、あそこだね! うわー、楽しそうなものがいっぱいあるよーっ!」

 初めて見る公園に目の輝きがピークに達したぷりんは、ついに走り出した。その勢いは12歳の少女が出すレベルのそれではなく、手を握っていた真宙の視界が突然超高速で流れ始める。そう、この時、彼女は風とひとつになっていた。

「きゃーっ!」
「うわー、すごいすごい! ねぇ、アレ……あれ?」

 初めて目にする公園の遊具に大興奮のぷりんが振り向くと、そこにはぐったりして灰と化した真宙が力なく垂れ下がっていた。

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