真宙は自分の名前を知っているこの見知らぬ少女について全く面識がない。だからこそ、この状況に困惑するばかりだった。
「あ、やっぱり真宙には私が分からないんだね」
「いや、だから誰なの?」
「私の名前はぷりん。よろしくね」
どうやら目の前の少女の名前はぷりんと言うらしい。見た目は真宙と同じくらいの背格好で、特にどこか怪しいと言うところは見られない。だからこそ、それが逆に怪しかった。なので、彼女はそれを確かめる事にした。
「私、あなたの事何も知らないんだけど、どこかで会ってた?」
「何言ってるの? あなたが私を呼び出してくれたんじゃない」
「え?」
「私もこっちの世界に来たかったから嬉しかったよ」
このぷりんの言葉に、真宙はようやく魔法陣を書いた事を思い出した。思い出したと言うか、突然頭の中にイメージが広がったのだ。強制的に見せられたと言う表現が適切かも知れない。あの時、魔法陣から強烈な光が発生して、そして――。
「あああっ!」
溢れ出てくるイメージの洪水に、真宙は思わず頭を抱えてしまったのだった。