• 現代ファンタジー
  • 異世界ファンタジー

説明台詞なしSSサンプル その4

「みんな、頑張ってる?」
「あ、先輩、遅いですよっ」
「そうかなぁ……」
「20分も遅れてるじゃないですか」
「そのくらい普通じゃない?」


「はいはい、それじゃ、全員揃ったし一通りやってみましょ」
「マジカルミラクル……」
「大いなる光の根源よ、今我に奇跡を叶える力を……」
「ダークブラッドパワー……」
「ドゥーク・ザ・ライドゥ……」


「「「「フラッシュ・モブ!」」」」


「……やっぱさぁ、最後の掛け声、これ止めない?」
「いやでも、一番息ピッタリ合うし」
「フラッシュはいいんだけど、モブって……」
「私もかっこいいと思うけどな」
「私は別に……」


「それとさぁ、やっぱもう1人部員入れようよ。4人じゃ何かしまらないじゃん」
「は? 4代元素の4人だよ? 完璧じゃん」
「私は別にどうでもいい」
「魔法少女部とか、もう誰も入らないと思う」
「ぐ……」


「じゃあ、部員の件はまた後で考えるとして、まずは掛け声でしょ」
「多数決だとミチルの負けだよ。明確な反対意見はあなただけだもの」
「ぐぬぬ……」
「で、でも私が部長だもん。部長けんげーん!」
「また始まった」


「いい? 大会では息を揃えて変身するその美しさがまず求められるのよ?」
「だから私ら3人は今の掛け声でいいって言ってんだけど」
「むきー! 変身の掛け声の美しさも加点対象なんだよ!」
「じゃあ対案を出してください、部長。話はそこからです」


「えっと……フラッシュ……フラッシュドーン!」
「却下! ドーンはない。小学生の発想」
「モ、モブよりいいじゃないのっ!」
「そう思ってるのは部長だけ。じゃあ次に進めましょ」
「私が部長なのに……」


「あの……決めポーズ、今のままでいいんですか?」
「あーそこねー」
「待って、私の考えたポーズにケチつけるの?」
「もっとブラッシュアップした方がいいかなって。大会まで後3ヶ月あるし」
「じゃあここも多数決かな」


「はい、じゃあここも再考の余地ありと言う事で」
「うう……私の考えたポーズは完璧なのに……」
「すねないでください、部長」
「ポーズを考え直す件については去年の優勝校のものを参考にしましょう」


「さすが優勝校は洗練されてるねぇ……」
「ほらここ、このポーズ、私の考えたポーズとそっくり!」
「全編通してそこの一瞬だけね」
「た、確かにそうだけどお……」
「すねないでください、部長」


「そうだ、みんなでアイディアを出し合ってそこで考えるって言うのは?」
「じゃあなんで最初に考える時にそうしなかったの……」
「あの時はミチルが自分が作ってくるからって強引に話を進めたから」
「そ、それはそうかもだけどぉ……」
「すねないでください、部長」


「じゃあ、大体変身はそんな感じで。次は各種魔法競技だけど、私は炎魔法で行く予定」
「じゃあ私電撃!」
「魔獣を召喚します……」
「私は……洗濯魔法で驚きの白さを!」


「えっ」
「えっ」
「えっ」
「……え?」
「すねないでください、部長」


「せ、洗濯魔法、いいじゃないですか! 服がきれいになったらみんなびっくりですよ!」
「でしょ! これは意表をつけると思うんだよね!」
「インパクト点は高そうだよ、誰もそれで勝負しようなんて思わないから」
「私はこれに賭けてるからね!」
「そこはすねないんだ……」


「みんな! 大会に向けて頑張ってる?」
「トーゼン! 先生に優勝の経験を味あわせてあげますよっ!」
「おお、部長、やる気だねぇ」
「洗濯魔法で優勝は厳しい気もしますけど……」
「しーっ」
「……」
「すねないでください、部長」


「うんうん、みんな頑張ってるね」
「先生、私達勝てると思いますか?」
「心配?」
「だって私達、大会は初めてですし」
「そんな可愛い部員達のためにコーチをつれてきたよ!」


「おう、魔法少女の卵達! 俺について来い」
「きゃー、かわいいー!」
「うわあ、止めろおー! 俺は愛玩動物じゃないぞー!」


「タマゾーさんはこう見えて使い魔歴120年のベテランさんよ」
「あ、本当だ、尻尾の先が二股になってる」
「語尾にニャーとかつけないんですか、タマゾーさん」
「そんなあざとさはとっくに卒業したわ! それよりも各々の実力を見せてくれ!」
「はい、コーチ!」


「あれ? どうしたの部長? そんな隅っこですねちゃって……」
「誰も私を部長扱いしてくれないんですよぉ」
「でも誰も代りに部長をするとは言わないんでしょ?」
「それは……」
「今の魔法少女部の部長はあなた以外に務まらないわ。自信を持って!」


「コーチ、お願いします!」
「うむ、やはり体を流れる魔導の力がまだまだ弱い。もっと動線を意識して」
「あの、私はどうでしょうか?」
「力み過ぎだな。もっとふわっと、雲に浮かぶような感じで」
「私も見てください!」
「うむ、基礎は十分出来ているな。その調子で集中力を高めていくんだ」


「やっぱり私なんてあんまりいらないんだ……」
「ちょ、一緒に頑張ればいいじゃないの。部屋の隅っこ禁止!」


「中々見どころのある部員が集まっておるな」
「そりゃそうよ、初出場初優勝を狙ってるんだから」
「問題は……部長だな。アレでは厳しいぞ」
「そ、そんな……」


「やっぱり私なんて……」
「なんでこう言う時に限ってあなたは鋭いのよっ! だから部屋の隅っこ禁止~っ!」

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する