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レビューに感謝

皆さま、残暑お見舞い申し上げます。私の住む地域は、先日台風の接近が危ぶまれましたが、結局は何もなく……仕事上さんざん対策や準備に追われたのですが、拍子抜けしたというのが正直なところです。しかし、考えてみればこれがいちばん良い結果なのですよね。対策をしないがために被害を被った施設もあったようですので……とにもかくにも、被害に遭われた方には心からお見舞い申し上げます。

さて、このたびありがたいことにレビューを頂きました。この場をお借りしてお礼申し上げます。誠にありがとうございます。
実を言うと、こちらの小説は何度か改編を繰り返した結果、今に至っております。当初は語り手の設定がなく、「手法が微妙」という評価を読者の方から頂いたことを契機として、語り手としての陸賈の設定をあとから付け加えた次第です。当時その方からは「語り手を神にしたら?」というアドバイスを頂いたのですが、それでは何とも安っぽく感じられ(せっかく頂いた助言であるにもかかわらず)、実在の人物の霊魂を語り手に据えたという経緯です。

さらにいうと、読者の方からの助言に限らず、使えそうなものは遠慮なく使っている面がございます。主人公の韓信が自らを「賊」に仕立て、敵をだます場面が序盤にありますが、まさにこの場面は田中芳樹先生が「銀河英雄伝説」の中で描いたミラクルヤンが採った戦法を「参考」にしています。この点で「盗用だ」と言われるまでのことはないと思うのですが、もう少しひねりを効かせた方が良かったかもしれません。ですが、もともと「銀河英雄伝説」も「史記」にかなりインスパイアされたと思われる作品ですから、私の方もインスパイアされて使ったと思っていただきたいです(笑)。

もし機会があれば、「小説家になろう」の方も一度ご訪問していただきたいと思います。他サイトの宣伝につながるようで恐縮ですが、あちらの方には本作「韓信」の末尾にあとがきを付け加えてありますし、連動した外伝的なものをいくつか公開させてもらっています。ネット上で人気のファンタジー・異世界ものには及びもつきませんが、アクセス数はそれなりに……という感じですので。

ご紹介いただき、感謝しています。本日はどうもありがとうございました。

5件のコメント

  • 本当に面白いと思いました。実は韓信の名は、項羽と劉邦や十八史略の中でしか知らなかったので、この作品で韓信の一生を知ることができ、ありがたいと思いました。こういう脇役に脚光を当てた作品は少ないですから。私は、斉の田氏を主人公にした香乱記も好きです。記憶が薄れていますが、あの作品では韓信が悪役だったのではなかったでしょうか。
    カクヨムも、角川文庫のネームバリューで、次第に読み専読者が増えるでしょうから、それまで辛抱のひと時ですね。
  • 時織さま、コメントありがとうございます。大変嬉しく思います。
    歴史上の軍事に関わる人物は、どれをとってみても善悪両面を兼ね揃えている(例えば劉邦であれば、漢の側から見れば善玉、一方敗れた楚の側から見れば悪玉となると思います)のが通例ですが、韓信という人物は、その点が非常に微妙なことが特徴的だと思います。敗れた楚の側から見れば、一度は楚に属しておきながら、漢についた裏切り者といったところでしょう。しかし勝者の漢から見ても、勝因は韓信の軍事采配によるところが大きいにも関わらず、完全な善玉とは言い切れないところがあると思います。それは最後に叛乱を起こしたことも一因としてあるとは思うのですが、それ以前にも主君である劉邦の意に反して斉王を称した辺りにも原因があるのではないでしょうか。この微妙さがなんとも言えない魅力です。
    というのも、あくまで私見ですが、本当のところ、韓信は天下を取ろうと思えば取れたと思われるのです。しかし彼は、他者がうらやむ軍事的能力をもちながら、肝心の場面でそれを発揮することなく終わりました。項羽を倒しながら、その勢いで劉邦をやっつける、ということをしなかったわけです。
    なんとも奥ゆかしく、あるいは歯がゆくも思います。ですが私はその奥ゆかしさが好きで、韓信を主人公に決めました。
    例えば(私は会社勤めをしていますが)、同僚の中で他者を蹴落として野望のままに昇進していくような人よりは、能力を全体の目標のために発揮して、自分は一歩下がって他の人を前に出してやるような人の方が好きです。少しスケールが小さいたとえですが、韓信は後者のタイプに近いように思えます。
    もちろん見方はそれぞれで、斉の田横などから見たら韓信は悪者となるでしょうね。そのことも踏まえ、(少し軽いタッチですが)田横視点から描いた外伝も書いております。もしご興味があれば、期待に添えるものかどうかは自信がないのですが、覗いてみてください。
    カクヨムには実のところ期待していた面があったのですが……過去に映画「始皇帝暗殺」のノベライズ版を角川書店で出していたこともあり、中国の歴史ものは取り上げてくれるのではないかという期待がありまして……まあ、いまのところ何もありません(笑)。それでも広く読まれていただけることを願っています。
    本日はどうもありがとうございました。今後も末永くご支援お願いします。

  • ビックリしました。
    面白くて。
    カクヨム未登録で読んでいましたが、コメントしたくて登録しました。
    韓信に私は会ってるという文面を霊能力者か何かが書いた小説なのかと思いました。
    賞は取られてるようですが一度、東京の出版社で売り込みされてはどうでしょうか?
    私には売り込み方は分かりませんが、ヒット作となりえるほどに充分に面白いと思います。
    作品として世に出ないのが実に惜しい。
    歴史小説は一通り読んで来てます。
    そのうえで惜しいと思います。
    売り込み方をどうか頑張ってください。
  • @v0825様、ありがとうございます。
     歴史小説を好んでお読みになってきた方に評価していただけることは、たいへん私にとって嬉しいことです。ご愛読いただき、感謝いたします。
     おそらくご承知のことと思いますが、本作「韓信」に関しては、すでに完結してから数年経過しており、その間私としても自身のサイトを立ち上げたり、ツィッターなどで拡散をお願いしたりなど、宣伝活動に努力した経緯がありました。ですが、なかなか思い通りにいかないというのが正直なところです。商業出版に至るには、結局は新人賞を獲得することが一番の近道だと実感させられた次第です。
     しかし賞に応募するにも要件を満たしていることが必要ですので(原稿の長さや過去に他社に応募しているかどうかなど)、それほど多くの出版社に応募しているわけではありません。また、私は地方住まいなので、足しげく出版社に足を運んだりできず、現在はただ声がかかるのを待っているだけの状態です。
     いまは仕事の方もなかなかに忙しく、目立った活動ができないでいます。ただ、習慣的に作品へのアクセスはチェックしていますし、毎夜寝床で次の作品の構想を頭の中に巡らせながら就寝する状況です。情熱は失っていないつもりです。
     今後ともご支援いただけたら幸いです。本日はどうもありがとうございました。
  • これほど面白いのに道が開けないとは実に大変な世界ですね。
    韓信を見出だしたショウカのような出会いがあることを。
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