これは優希と華が結ばれた“かも”しれない、そんなもしもの話。
私は空木華、優希くんとお付き合いする事になり、今では同棲して一緒にカップル配信などをしています。いまなんじでこんな配信をする人はいなく、かなり珍しいです。
「はぁ⋯⋯編集疲れました⋯⋯」
自分のチャンネルに投稿する動画の編集をしていた私はようやくキリがつき、アップロードの設定をして予約投稿を完了させました。
「華さん、お疲れさまです」
私の呟きを聞いたのか、優希くんが紅茶を持って差し入れに来てくれました。
「優希くん、ありがとうございます」
「いえいえ! 華さんがいつも頑張ってるのは知ってますから!」
笑顔で私に優しい言葉をかけてくれる優希くん。
これでもお付き合いしてから1年は経っていて、大きな関係の進展が無いのが悩みだったりします。
「ふぅ⋯⋯優希くんの淹れてくれた紅茶は美味しいですね」
「そ、そんなに変わらないですよ?」
「優希くんが私の事を考えながら淹れてくれたと思うだけで美味しさは倍増ですよ?」
そんな他愛もない話をして気付けば、夜も深まり、周りが真っ暗になっていた。
「もうこんな時間ですか」
「華さん、そろそろご飯食べちゃいましょうか」
「そうしちゃいましょう!」
それから一緒にご飯を食べる前に、私はお風呂に入る為に浴槽を洗いに行く事にした。
「はぁ⋯⋯優希くんとお風呂とか、入ってみたいですね」
絶対本人は恥ずかしがって嫌がるんでしょうけど。
「そういえば⋯⋯なのちゃんにちょっと怪しいお酒をもらっていましたね」
ふと唐突にとある貰い物を思い出しました。そのお酒はオトコを呼び戻す活力酒とラベルが貼られていて、いわゆるアレ系のお酒⋯⋯だと思います。
「味が美味しかったからとオススメされましたけど、優希くんが飲んだら積極的になったりしたりしませんかね?」
そんな事を考えながら、私は浴槽を洗い終えると、優希くんの待つリビングへと戻っていきました。
リビングに向かう私の手には、なのちゃんから貰ったお酒が握られたままで。
♢
「「いただきます!」」
今日は優希くんの手作りご飯、ちょっとガッツリ目な豚の生姜焼きと、お味噌汁、あとはお漬物とTHE和食と言った内容です。
味の濃いめの生姜焼きもある事ですし、例のお酒、飲ませてみましょうか。
「優希くん、実は前なのちゃんにお酒もらったんだけど良かったら飲んでみませんか?」
「どんなお酒なんですか?」
「エナジードリンクとかそっち系の味に近いらしいですよ?」
「じゃあ飲んでみようかな⋯⋯?」
今ではもう21歳になり大人の仲間入りを果たした優希くん。合法的にお酒を飲めるのもあって、優希くんを説得するのは簡単でした。
「(さぁどうなるか、楽しみです!)」
優希くんにお酒を注いであげると、優希くんはお礼を言い、そのままお酒を飲み始めました。
「あっ、確かにこれ飲みやすいですね」
「本当ですか?私も飲んでみます」
優希くんにお酒を注いでもらい飲んでみると、確かに美味しいです。
「これは確かにぐびぐびいけちゃいそうですね」
「ちょっと一気に飲み過ぎちゃったんですかね、身体が暑いです⋯⋯」
優希くんはそう言うと、胸元をぱたぱたとしながら顔を赤くしています。
「ふふっ、確かにちょっと度数は高いかもしれないですね」
「⋯⋯」
私がそう笑っていると、優希くんの目がどこかおかしくなっている事に気が付きました。
「どうかしましたか?」
「な、なんか変なんです⋯⋯」
「(き、来ました!!!!!)」
これが私の求めていたお酒の効果!
さぁ、優希くんの秘めたる獣欲を私に!
「華さんを見てると⋯⋯胸が苦しくて⋯⋯」
「⋯⋯大丈夫ですか?」
私は原因が分かりきっているのにも関わらず、純粋に心配しているフリをする。
「華さん⋯⋯」
優希くんが急にこちらへ身体を寄せてきました。
「(あああああああああああああ!!!!!
優希くんが自分から私に抱き付いてきましたああああああああああああああ!!!)」
もう私の脳内は大騒ぎです。
「ゆ、優希くん⋯⋯」
「華さん、僕の身体なんかおかしいんです。
華さんにこうして触れてると、胸の鼓動が大きくなって⋯⋯華さんにもっと触れていたいって思っちゃうんです⋯⋯」
今までこんなに大胆な優希くんがいたでしょうか?
いや、いない(断言
「⋯⋯優希くんの好きにしても、良いですよ?」
「⋯⋯本当に?」
「はい、優希くんになら何だってしてあげたいんです。だって、その、彼女⋯⋯ですし?」
私がそう言うと、優希くんが私を押し倒してきました。
「あっ」
私を押し倒した優希くんがそのまま私に覆い被さり、私を抱きしめます。
「華さん、ちょっと、このままで良いですか?」
「はい、好きなだけどうぞ」
私の心臓の音がバレないか不安ですが、優希くんはそれどころじゃ無さそうです。
「華さんからいつもこうやってスキンシップをしてくれてましたけど、本当は僕からもしたかったんです」
「えっ、そうだったんですか?」
「でも、自分から行くのは恥ずかしくて、それに華さんの身体が目当てだと思われるのが嫌で」
「ふふっ、優希くんは勘違いしてますよ。
身体が目当てかどうかなんかどうでも良いんです。
ただ優希くんが私を愛してくれていれば、私はそれで満足なんです」
「華さん⋯⋯」
切なそうな顔をした優希くんの顔に自分の顔を近付け、私はキスをします。
「これからはいつでも歓迎ですよ、優希くん」
それから先は多くは語りません。ぐっすりでした。
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