世界中で「国単位の人殺し」が横行している今。
考えても暗くなるだけだから全部無視していようと思ったら、友人から「ぜひぜひ見て」と「私は憎まない」という映画を勧められて観たのが一年前。
あまりの衝撃で、感想もかけずレビューもできず、心そのものが鉛になった。
人間なんて全滅してしまえ、とすら思った。
だが、ガザで愛するものを皆失ったこの医師は言うのだ。それでも自分は憎まない。
家族を故なく全滅させられても憎まずにいるというのは、愛というより信念、人としての誇りを捨てたくないのだと思う。
人でいたい。
獣になりたくない。
でもともすれば聞いたことだけで獣になってしまう私が、彼が失った家族に代わって、天を仰ぎ地に唾を吐いた。
そんなどうしようもない短編です。