どうも皆さんこんにちは、名無之です。つい最近、夏目漱石の「草枕」が写し終わりまして、その読書感想文を書こうと権兵衛に読んでもらっているのですが、珍しく詰まっているらしく、読むのに時間がかかっています。「なんて本に手を出してしまったんだ」と僕を叱るのですが、あいにくと僕も内容を全然覚えておらず(写すのに2ヶ月かかってますから)、もう一度読み直さないといけないかもしれません。
というわけで、今日は日々の読書からこの本を。巨匠・キングの処女作です。何となく内容は知っていたのですが、その中に秘められたのはすごく深い心理描写でした。では、みていきましょう。
あらすじ:「おまえは悪魔の申し子だよ」狂信的な母、スクールカーストの最下層…悲劇はその夜、訪れた。
おすすめ度:上の下(巨匠の始まりとして容赦ない作品)
えっとですね、あらすじはかなり簡潔ですが、中身は簡単です。盛大にネタバレするので気をつけてください。
スクールカーストの最下層にいるキャリーは超能力が使えました。彼女はその超能力を使ってプロムナイトに同級生をほとんど皆殺しにして、町を半壊させました。
たったこれだけです。そして、それらは序盤から核心だけを内包したまま読者に暗示させます。つまり、事件が起こる前のキャリーたちの生活描写と、事件後に出版されたいくつかの文書を交互に書いているのです。その構成が読者を先へ先へと進めました。ぶっちゃけ、読んでいて苦はなかったです。
そして内容もキングらしく、辛辣で容赦ないものでした。初潮を学校でしてしまった彼女に向けてナプキンやタンポンを投げる同級生たち、プロムで豚の血を直接浴びせて爆笑する出席者。思わずオエッとなるような内容を彼は淡々と書き連ねていきました。これはひとえに彼が高校教師をやっていたから実感することのできたことでしょう。やはり社会に出て働くのは大切なことみたいですね。
この本の特筆すべき点はそれだけではありません。朝井リョウも顔負けの心理描写をとても丁寧にしていることです。訳者あとがきでも書かれていましたが、この本は青春小説と怪奇小説を合体させることに成功した初めての作品と言えるでしょう。そのために三度も映画化されて不朽の名作と言わしめたわけです。
この映画化についてはあとでもう少し述べるとして、このような長所があったものの、やはりまだデビュー作というべきか、序盤の方は筆がのっていないように見えました。日本語訳でもそれはわかるほどです。聞いたところによると、紙屑になるはずだったこの作品を妻の説得によって出版されたそうですから、無理もないかもしれません。なので、おすすめ度は上の下にしました。
さて、先述したようにこの作品は三度の映画化をされています。どれも映画史に残る名作と言われ、高評価されています。最近ですと2013年に公開されていますね。名作は何度も映像化されると言いますが、僕はこの作品に関しては少し違うのかな、と思いました。あくまで本書を読んだだけで、映画は未視聴な名も無き物書きの意見なので、お許しください。
キングの小説にはいじめの描写がとてもリアルに描かれています。これを実写でもやったかどうか不明ですが、映画化されるということは、ある程度の需要があるということで、それは、アメリカの学校に未だ「キャリー」のようないじめが存在するからではないでしょうか。そのような需要があるから四十年経っても映画化される。そう考えると。少し残念な気がします。アメリカは四十年経っても、学校のいじめは改善されていないことになりますから。昨今の新聞を読んでもいじめ・薬物が蔓延しているらしく、この考えはかなり的を射ていると思っています。
ま、あくまで映画未視聴の僕の感想ですけどね。
ふう、疲れた。よし、今日はここまでにしましょう。
あ、母親のことを書くのを忘れましたね。彼女についても考察する余地は大いにあるのですが、それは読んでもらって考えてもらいましょう。
次は草枕か、別の作品か。まあ気長にお待ちください。
それでは、また!