柊 撫子

　探偵、桝谷小太郎は窮地に立たされていた。 双子の助手を人質に取られ、時限爆弾が目の前でカチコチと針を進めている。 周囲には慌てふためく民衆と避難誘導に苦戦する警察。 この狂騒と…

　ある日、遊び道具を探しに納屋を訪れたぼくは、布をかけられた不思議な鏡を見つける。 ぼくが鏡面に触れた途端、眩い光を放つ。 するすると招かれるように全身を吸い込まれ、瞬きの間に高…

夏に運命と出会い、彼に焦がれた花。 残された時間が少なくとも、その想いを結びたいと願った。 日に日に弱りゆく体を隠し、想いを告げるか悩み、また明日と嘯いて。 儚くも美しい花の恋物…

　アトレシア諸島を統べるチョウ帝国の栄華は『賢帝』と謡われた前皇帝が亡くなると共に失われ、後を継いだソ皇帝による統治は悲惨そのものであった。 他国との協定を幾度となく破り、思いつ…

　とある世界のとある国に、神童と謳われる少年がいた。 彼の名はヤキリ。 文武両道で眉目秀麗、炎のように赤い髪と煌々とした瞳の美少年だ。 　後に彼は自身の悲願であった「弟の可能性」…

　誰しもが一度は経験する、授業中の理不尽な指名。 最もシンプルなのが「目が合ったから」という、なんて通り魔のような指名方法だろう。 　その次に多いのが出席番号、席順による指名。 …

　昔々、あるところに己の肉体を鍛えることに全力を注いでいる王様がいました。 日の出と共に目を覚まし、鍛錬。 太陽が頂上に昇る頃にもまた、鍛錬。 月が顔を出したとしても、鍛錬。 忙…

　良くも悪くも名の知れた舞台監督、蒲笈 円玄。富豪の道楽と揶揄された彼の演劇で必ず主演に選ばれていた女優、浅山 千幸。 浅山の実力であれば蒲笈の舞台でなくとも輝ける、蒲笈の舞台は…

　眠れない夜。午前一時を過ぎた頃。 家族は寝ているのか物音一つしない家。 寝直そうとしてもどうにも落ち着かない。 起きていても何も思いつかない。 欠伸も出ないほどの退屈。 　何も…

　卵を容器に割り入れてよく溶き、熱したフライパンでかき混ぜながら焼く。 難しいことは何一つない料理だが、作ってから食べるまでに個性がよく出る。 　卵は何個使うか、調味料は混ぜて焼…

　五歳になる誕生日、祖母から贈られたのは手作りのぬいぐるみ。 この子と過ごした時間は掛け替えのない、大切な思い出。 それをあの子にも伝えたい。

　人は眠りにつくと、良くも悪くも夢を見る。 その夢を喰らう者、『夢喰い』は喰らった夢を本にし、集めて人の意識の狭間で本屋を開いた。 どこかの誰かが見た夢をもとに書かれた本を読め、…

女学院在学時からオリフィアに心酔していた修道女、ナディータ。 彼女は日々の記録として「お姉様観察日記」をかかさず書いている。 拙作「帝国内戦黙示録」のスピンオフ短編作品です。…

大切な友を守るため、少女メイは剣の腕を磨く。 ただひたむきに、淀みなく。 拙作「帝国内戦黙示録」のスピンオフ短編作品です。 本編は下記からどうぞ。 https://kakuy…

唐突に１話完結の小話が書きたくなった時に更新します。 暇つぶしになれば幸いです。

　十九世紀後期。あまりに有名すぎる探偵の陰に埋もれた聡明な探偵、エドワード・バーンズの許に一人の依頼人が訪れた。 彼の名はパトリック・デニス。普段は町工場で働いているという。 パ…

　ある猟奇的な刑事事件に関わった弁護士の鷲北雲南。 仕事の依頼が来た同時刻、エクソシストの小鳥遊紫から電話が掛かってくる。 彼女曰く、今回の事件は少々厄介な物らしい。 突然巻き込…

　アトレシア諸島を統べるチョウ帝国の栄華は『賢帝』と謡われた前皇帝が亡くなると共に失われ、後を継いだソ皇帝による統治は悲惨そのものであった。 他国との協定を幾度となく破り、思いつ…

　秋も半ば頃、若い警官は退屈していた。 平日の昼下がりはあまりにも穏やかで平和だったのだ。 　このまま時間が流れ何も起こらなかった日、になる筈だった。 この電話を受けるまでは。 …

　大陸を創造し、魔力を全土に渡らせた龍が暴走したことにより、大陸に属する五つの国にあらゆる異変が起きた。 それぞれの国に存在する五つの属性のいずれかを極めた賢者たちが鎮めようとさ…

日記をつけるのが趣味の少年、ジャック。 彼の日記には数多く友達の事が書かれているが、皆一様におかしな事があった。 それは、彼ら彼女らはみな他殺願望がある事だ。

この広くも狭い世界。 何時だってその”遊び”を楽しみ、嗜む。 無意識にそれをする人もいれば、意図している人も。 もしかしたら、これが遊びとは言わないという人がいるかもしれない。 …

街中にある小さなケーキ屋での事件。 なんと、数量限定のスイーツが数個消えてしまったのだ。 パティシエの友人が真相を明らかにする――。 別の場所で掲載していた短編を移動させたもの…

学校で真しやかに囁かれる噂の数々。 この噂もまた、それらの一つ。 これはある街で流れる噂。

地下から聞こえる不審な声。 いつから聞こえ始めたかもわからないその声は今日も聞こえてくる……。