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天使のすむ部屋について

【あらすじ】
 「天使のすむ部屋」の怪談について詳しく知りたい我々は、自主企画を立てて怪談を集めたのだった。

【感想編】
F「三作品集まりましたね。そのうちホラーと呼べるのは、藤泉都理さんの『「天使のすむ部屋」の怪談だってば』だけだという印象を受けました」

N「あのメモの情報を忠実に扱ってくれたうえでしっかりと怪談を作ってくれたね。……そう、作ったんだよね?」

F「もしかしてNさんも作品を読んだ後に気分が悪くなりました? 実は自分は、肉にまつわる不思議な出来事に遭遇して……」

N「作り話でも、条件がそろうと本当になるからね」

F「少なくとも藤泉都理さんはお元気そうでしたよ。本人いわく、怪談を書くのは今後ないとのこと」

N「それなのに、参加してくれたのか。惹きつけられたのかな?」

F「『無菌室』は怪物のパンを天使のモデルにして、『天使のいる部屋』は田舎の儀式や牢獄の怖い話をモデルにしているそうですよ」

N「外部から得た情報と組み合わせたのか。当然というべきか、三作品に共通点は見られない」

F「とくに天使の造形がバラバラですね。『無菌室』は怪物、『「天使のすむ部屋」の怪談だってば』は憑依、『天使のいる部屋』は変化」

N「どの天使も、我々のイメージする天使ではないな」

F「話は逸れますが、『無菌室』と『天使のいる部屋』が怪談じゃない点に疑問が残ります。怪談を集める企画なのに」

N「なにかメッセージが隠されているのかも。普通に怪談にしたらスルーされるところを、あえて怪談ぽくしないことで目に留める」

F「そんなの……わかりませんよ」

【対峙編】
 Fは公園のベンチで、天使のすむ怪談を探しているMに出会った。

M「あの話を思い出したの。あなたに伝えにきたわ」

 その内容を要約すると、このようになる。
 ある山奥の屋敷で人体実験が行われていた。薬を投薬された人間は姿形がかわり、まるで天使のようだった。
 目的は不明だが、最終的にこの実験は中断となった。関係していた研究者全員が、異様な潔癖症になり精神病院に押収されたから。

M「という話。どう? 嫌な話よね?」
F「へ、へえ……」

 どういうことだ? Fは内心焦っていた。
 Mの語った話は、自主企画で集まった情報を合わせているように感じたからだ。

F「あ、そういう内容だったんですね」
M「そういうことにしなさい」

 威圧的な目つきに気圧されて、Fは言葉に詰まった。

M「ああ、ごめんね。こんな言い方は良くないね。私はただ、あなたにこれ以上関わってほしくないだけで……あ、そうだ」

 Mは目を吊り上げて顔を近づけた。

M「交渉しましょう。忘れてもらう代わりに、あなたのお願いを叶えてあげる」

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