村崎沙貴

東京で暮らす大学生と、地元で勉強に励む浪人生。 かつて同級生だった二人は、離れた場所で互いを思い出す。 互いに憧れ、嫉妬し、そして―― 正反対な二人の『現在』と『過去』と『未来…

ひたすら水を覗き込む。 理想の色は、どこにもない。 周囲にありふれている、うつくしいものに、感動できなくて。 思い出に囚われて、空回り。

志望校は、決まってる。成績の伸びも順調。 それでも、受験生は悩みが尽きない。

ひっそりとした社に祀られている神は、かつて民草を惑わした妖狐である。

　宮中に渦巻く「愛」は、なにも「恋」だけではない。 　 　中流貴族の藤原桃子は、才が文学に著しく偏っており、人づきあいが苦手。中宮の女房として宮仕えをすることになり、びくびくしな…

　舞台は平安時代。投獄されていた青年・誠は昨年、新帝即位の際の大赦で放免となった。 　放免とは検非違使庁の下っ端で、「毒を以て毒を制す」という考えの下、前科のある元罪人を犯罪者…