皆さま、お元気ですか。紋屋、まだ生存しております。
・三年前、職を失いました。以来三年間、無職です。
・同じく三年前、四千字の掌編を書き、その校閲をAIに依頼しました。誤字脱字、文法ミスのチェックを頼んだだけだったのですが、「私がお手伝いすれば、さらに魅力的な仕上がりとなる可能性がありますが、いかがですか」との奴の甘言に僕はノってしまったのです。奴は、僕の小説を、わずか30秒で、思いっきり書きかえました。結果、どんな文芸公募に応募しても、絶対に予選は通過するよね……みたいなキラキラな作品が出力されたのです。「この小説、知らぬ面をして、どこかの文芸公募に応募しろよ。一儲けできるぜ」という悪魔の囁きが聴こえました。ちょっと心が揺らぎました。
人を笑わせたり泣かせたり、人に自分は優しい人間だったのだと気づかせたり……それが楽しくて、友人や身内に読ませるだけの物語や詩を書いていた……そんな記憶が僕にはあります。読者を幸せにするために小説を書くのだ。お金とか名声は二の次……と、本気で思っていた時期がありました。僕は思い出し、それが作家としての矜恃だと再び確信しました。「お前が泉に落としたのはAIが作った金の斧かい? それともお前が作った不細工な鉄の斧かい」と女神が訊くので、僕は「鉄の斧ですよ。不細工で悪かったですね」と答えました。
僕は、AIが書き直してくれた小説を、自分の作品として認めることができませんでした。僕は、そのAIが出力した作品を封印=完全消去しました。原文の駄作は、せっかく書いたので、文芸公募に応募しましたが、当然予選落ち。泉の女神は「お前みたいな奴を馬鹿正直っていうんだよ。一生不細工な斧使って樵をやってな」と冷たく笑いました。
以来、AIへの劣等感に打ちひしがれ、新作を書けなくなってしまいました。
肉体も煩悩ももたない機械が書いたエロ小説なんて、読者に対する裏切りだと思いませんか?……例えが悪いかも。真面な画家なら、AIに描かせた絵に自分のサインを書こうとはしない筈です。僕はそう思います。
とりあえず作家としての名声を得たい方には、AIとの共同執筆をお勧めします。結果的に読者が幸せになるのなら、AIに依存した執筆が、悪いとは思いません……僕は、絶対嫌ですが。
ただ、誤字脱字、文法のミス、似たような物語を他の作家が書いていないか……といったチェックは、むしろ、AIを使ってすべきことだと思います。
・やはり、三年前、PCが3台、立て続けに壊れました。1台、何とか修理しましたけど……使用頻度は以前の半分以下。
・さらに三年前、六回目か七回目のコロナワクチンを接種し、準危篤状態に。何とか生命は維持したものの、以後、人生一番の無気力状態が続き、何もする気にならず、ひきこもりに。現在も、一日十五時間、寝ております。この三年間、市の外に出たのは、法事で田舎に帰った時、運転免許の更新で隣市の警察署に行った時の、わずか二回しかありません。電車にのったのも、その時だけです。
・カクヨムのパスワードを忘却。思い出す努力もしませんでした。
・「お父さん、元気を出してよ。まだワンチャンあるかも」と、陽気な愛娘=ヨークシャテリアが言ってくれたので、壊れたハードディスクから大昔書いた小説二十数本を復元し、現在を起点にした物語に改稿。適当な文芸公募を見つけて、応募しまくりました。結果、一本だけ、新潟文学賞・漫画賞のライトノベル部門で佳作。ところが、受賞はネットで発表されただけで、主催者からは何の連絡もなく、授賞式も賞状もありませんでした。
・で、さらに生きる気力を失った僕は、「ねえミオこの先、どうしようかね」と、膝の上にのっかった娘=ヨークシャテリアに相談しています。
・試行錯誤の結果、何とかパスワードを思い出し、カクヨムにアクセスできました。何時逝くかわからず、完全復帰は無理ですが、よろしくお願いいたします。