春の別離

 離島ではよく見る光景だ。
 それも桜が満開の時期が多い。
 この年度末に島を離任する先生たちを見送り生徒が、鈴なりになっている。別離を哀しむ声よりも、元気に弾む声が大きい。
 そして見送る側と。
 見送られる側とに。
 極彩色に輝く紙束。
 ゆっくりと船は身じろぎをして出航する。
 紙束を引いて沖へと動き出すと、見送りの群れが岸壁の端まで駆け寄っていく。そこへ舳先を傾けながら汽笛が鳴り響く。
 物悲しく、それは紙束の尾を引いて、島陰を縫っていく。

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