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ケントゥリア1巻を読んで

暗森透先生の『ケントゥリア』1巻を読んだ。
改めて読んで、特に第一話の完成度の高さと濃密な面白さに驚嘆した。

「今までの人生で
価値のあるものを
手にした事は
一度もない」

という冒頭の言葉で、この世界が主人公ユリアンにとって厳しいものであるのがわかる。
重厚なダークファンタジーにふさわしいオープニングだが、すべてのコマの根底に、常に人間の善性を信じるヒューマニズムが流れているのがこの漫画の特徴だ。

「人としての
誇りを
忘れずに
すむわ」

「この子さえ 無事に生まれて
幸せになってくれれば」

「私は一生
苦しんでもいい」

ユリアンを可愛がる妊婦ミラの台詞に、それが最も現れている。


一話の最後でユリアンは百人の奴隷の命と引き換えに彼らの力を得て、ミラの娘である赤ん坊のディアナを守る。
小舟の船上でディアナを抱いたユリアンの

「今までの人生で
価値のあるものを
手にした事は
一度もなかった」

「たった今までは」

という台詞はオープニングと照応し合っていて感動的だ。
個人的に今年の漫画のベストワンはケントゥリアで決まった。

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