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【デバ最】◆42.5話 フェスタ、スキルを得る◆

今月もサポーターや皆さんに向けて、先月書いたPCOのお話を更新します。

p.s.先日イヤホンが壊れてしまいました。使い始めて三日です。ショックです。
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「せーのっ!」

 フェスタは大剣を振り上げた。
 すると肘と膝に激痛が走る。
 痛い、それに重い。フェスタはそれに耐えながら、目の前のモンスター目掛けて振り下ろした。

「おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 とんでもなく痛い。
 全身を駆け抜けるダメージが神経経路で降り掛かる。

 しかも攻撃はまんまと外れ、モンスターは逃げ出す。
 これだと自分の体を無作為に傷付けただけで、何の成果も得られなかった。

「く、悔しいー」

 フェスタは唇を噛む。
 上手く大剣が扱えず、悔しい思いをしてしまった。
 正直モンスターのレベルはそこまで高くはない。
 けれどフェスタの動きが明らかに悪いせいで、全くと言っていいほど当たらなかった。

「どうしたらいいんだろうー?」

 フェスタは悩んでしまった。
 戦い方が分からない。如何したら上手く行くのか。如何したら勝てるのか。
 この武器を手に入れて数日、〈戦車の大剣槍〉を上手く使いこなすための技を考えた。

「やっぱりスキルがないと、上手く扱えないのかなー?」

 フェスタは大剣を地面に突き刺し、絵の頭に顎を乗せる。
 ボーッと丁度いいスキルが無いか考える。
 だけど正直思い付かない。何を如何したら欲しいスキルに巡り合えるのか、その上扱い切るには何をしたらいいのか、考えることが多いから楽しい反面、そこに至るまでが大変な道のりだった。

「もしかしてこの呪いのアイテム、私よりも筋力必要なのかな?」

 正直相性は悪く無いと思う。
 だけど負担がデカすぎるので、渋い表情を浮かべざるを得ない。

 とは言え諦める気はないし投げ出す件でもない。
 使えないなら使えるようになればいい。
 扱いが分からない中、フェスタは片っ端からモンスターに殴り込む。

「考えるのは私らしくないねー。よーし、ガンガン倒すぞ、どりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 フェスタは森の中を爆進する。
 もはや止まる気はなく、大剣を背中に背負うと、モンスターを探し回る。

 チラホラ自然に捉えるのは、小さなモンスターばかり。
 スライム、スライム、スライム、スライム、スライム、スライム、スライムばかり。
 もはや単純作業の連打で、フェスタは大剣を背中に背負っていたが、即座に抜刀して体を軸にして、重力に任せて薙ぎ払う。

「おりゃおりゃおりゃおりゃ、どりゃりゃりゃりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 スライム達が宙を舞う。
 如何やら攻撃力は大したもので、一撃だった。

 だけど構えると肘や膝への負担が募る。
 これはまともに扱えない。
 そう思い、フェスタは周りで散ったスライムを見て、一つ気になった。

「ふぅ、結構倒したなー。って、なんか変なんだよねー。体が軽い? いや、そんなことないかな」

 不思議だった。普通に体験は重いはずなのに、如何してここまで扱い切れているのか。
 もしかして体が軽い? いや、それなら足が地面に付いていない。
 不思議な体験に悩まされるが、フェスタは気にせず次も獲物を探して、大剣を背負った。その時だった。違和感の正体に気がつく。

「如何して簡単に背負えるんだろ? こんなに重いはずなのに……もう一回、試して。えいっ!?」

 物は試しだ。もう一度試してみることにした。
 フェスタは大剣を振り下ろすと、急に体が軽くなる。
 まるで普通の剣を振り下ろした感覚でびっくりして、声を上げてしまう。

「えっ、嘘でしょ!? なんでー? なんでなんでなんでなんで!?」

 フェスタにも訳が分からない。
 とにかく大剣が軽くて扱いやすい。
 無理に体を捻ることもなく、容易く扱い切れ、フェスタは困惑する。

「もしかして……ダメ、やっぱり重い」

 構えた状態では上手くいかない。
 フェスタは分からずに再度背負うとやはり軽い。
 不思議が募る中、フェスタは試しにステータスを確認する。何か分かるかもしれない。

「えっと、ステータスー。ステータス!?」

 ステータスを開いたフェスタは声を上げる。
 そこには見知らぬスキルとレベルアップした自分が明確に映し出されていた。

「レベルは二つ上がってるけど。それよりもさ、な、なにこのスキル!?」

 そこには二つのスキルが表示されていた。
 それは【納剣】と【抜剣】。不思議だけど、なんとなく理解もできる名前だった。

「【納剣】と【抜剣】。この二つのスキルのおかげってこと? 背負う時と振り抜く時だけ。うーん、これは調整が難しいなー」

 もっと分かりやすくて強いスキルなら話も変わった。
 だけどこれだと少しだけ癖がある。
 難しい面に立ったとフェスタは思うが、すぐに笑みを取り戻す。

「いや、その方が個性があって面白いかも! 私、気に入ったよー!」

 フェスタは持ち前の明るさを武器にする。
 前面に押し出した笑みをにんまりと見せつけると、早速次のモンスターを狩りに行く。
 試してみたい。やってみたい。上手くなりたいと気持ちが馳せる中、フェスタは新しく得たスキルを糧に頑張るのだった。

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