こんばんは、水二七市松です。
本当は昨日のうちに更新したかったのですが、読んでいる最中に力尽きてしまいました……。
今日も張り切って感想を書いていきますよー。
今回も4作品ですが、一つ4万字の中編も読ませていただきました。
作品名:ネバーエンド・ラブストーリー
作者名:荷葉詩織
性同一性障害の元男性とインセストの被害者女性が心中するに至るまでの心情を、手紙形式で表現したお話し。
陰鬱とした雰囲気が終始続くので、好みは別れるかもしれません。
最期の方は、少しわかりにくい描写になってますが、解釈としてはどうなんでしょう?
それぞれが自殺に失敗して、お互い生き延びてしまうと思いきや結局別々の死に方をするという解釈でよかったのでしょうか?
全体的なテーマは、人生に絶望した二人が、死の向こうの希望を抱き心中する、と言ったお話なのかなぁと個人的には思いましたが、率直な感想だけ言うと、ちょっとしんどいなと思ってしまいました。
というのも、そもそもメッセージ性が大衆向けでないことは理解して読んでいるのですが、それでも読み手としてこのお話から受け取るものを見出すのに、『単純に情報が足りない』と言う印象です。
一応、最後の「Dear:You」のセクションで、二人の憎んだものが崩壊していく様子が描かれているのは「せめてもの救い」という事なのでしょうか。
うーん、私的な感想ですが「深い」と言う感想を抱かせるお話を狙っている書き方かなと思いますが、まだまだそこに至っていない気がしますねー……。
奥行きを出すために、もう少し文字数書けたなと思います。
敢えて短くするにしても、情報の厳選できたかと。
文章は単純にいいです。陰鬱な過去のエグさや心の闇はよく書けてると思いました。
星二つつけました。
作品名:イチゴの花が咲く理由
作者名:柚緒駆
他企画の参加作品の様で、他企画で提示されたお題に沿って作られた話のようです。
二卵性双生児で性格が真反対の青年二人が、その街の不思議な現象に疑問を持ち、それを解決に導くお話し。
「イチゴの花が道端に咲いていた」と言う些細なお題から、ここまで引き付けられるミステリーに仕上げられたのはお見事だなと思います。
シンプルに、こういう内容で攻め立てるこの双子が主人公の短編連作ミステリーシリーズがあれば、多分僕はお金出して買うでしょう。
話の内容自体はあっさりしていて、文字数も大したことないのに、登場人物のキャラ立ても上手だなと思いました。
そして、ただのイチゴの花の謎解きだと思いきや、きっちりとした「事件解決」と言うどんでん返しまでが本当にしてやられた感がありました。
最初から最後まで楽しめる内容でした。
星三つつけてます。
作品名:ブルマでミステリー ~なぜブルマ姿で0.9マイルもダッシュするのか?~
作者名:usumy
こちらも続けてミステリー。
タイトルから察せる通り、上記の作品と比べても、非常にコミカルな内容になってます。
青年の邪な欲求から始まる恋路(?)の前を横切っていくブルマ男の謎!みたいな内容です。
ハリィ・ケメルマンのデビュー作「九マイルは遠すぎる」のオマージュ(?)のようです。
「なぜ男はブルマを履いていたのか」と言う謎に対して、主人公が意中の先輩と一夜を過ごしたいがために真剣に推理するお話です。
バカバカしくてするすると最後まで読めてしまいますので、堅苦しいミステリーは嫌だ!と言う人にはお勧めかもしれません。
個人的な感想ですが、基本的には楽しんで読めたものの、まぁ本格ミステリーってわけでもないでしょうからそこは別に重要じゃないのでしょうが、ちょっと無理が目立つところがあるなと思いました。
割と序盤で謎の核心に気付けてしまったので、なんだかなぁと。
推理ものとしては弱いです。
コメディとしてはいい作品かと思いますと言った感じでしょうか。
星二つつけました。
追記:後日衝撃が走った事件なのですが、この方、なんと「Wiz〜ニセ魔法使いの事件簿〜」の作者様でした!!!
名前が変わっていたので気づかなかったのですが、久しぶりに読もうと思って検索してたらそちらでも名前を変えていらっしゃったので「あれ?この名前最近どこかで見たことあるような……?」となって気づきました。
古くからご愛読させていただいておりました、この度は私の企画に参加いただいて光栄至極にございます。
作品名:アパルトマンで見る夢は
作者名:リエミ
仕事に行き詰まりを感じた女優が、端的に言うとリフレッシュ休暇みたいな感じで田舎町に短期間引っ越しする話。
結論から言うと、凄く良かったです。個人的な解釈を含め、感じ取った部分を書いていきたいと思うのですが……。
※ネタバレ含む、です。ご了承ください。
全体を通して、なんだか感じ取れるものの沢山あるお話でした。
確かに何かに行き詰った時に、自分を客観的に見つめ直したりってすごく大事です。
そう言った意味で、最初「キミカ」をまるで自分ではない誰か(あっているんですが)であるかのような叙述トリックを使って、敢えて「会いに行く」と言う表現を使ったのかなと思います。
「見つけに行く」ではなくて、「連れてくる」とか「会いに行く」と言う表現で、「既に自分の中に存在しているモノではある」と言う表現が強まったなと思います。
次に、かけるとの関係について。
私が感じたのは、かけるからの一方的な恋心はあったのでしょうが、お互い「表現する者」として通じ合うなにかがあって、それを共有する人間として高め合う存在なのだろうなと言う感じがしました。
だから、舞花がかけるに抱いているのは「尊敬」とか、しかしまだ表現する者として大成していない彼に対する「支持」のような気持ちだと思います。
かけるに抱くそれが、恋心であるという可能性を完全に否定するための存在が、ほとんど話にしか出てこない要二なのかなと思いました。
表現したいことに対する状況や役割を本当にうまく組み立てて、ラストまでもっていっているお話だなと思います。
長さとしても、文庫本の短編集にそっと入っていてほしいお話だなと思いました。
星三つつけてます。
本日の感想、ここまでです。
ご意見、感想、激励コメントどしどし待ってますので、お好きどうぞ!
まだまだ先は長いですが、最後までお付き合いいただけると幸いです。