――そして薄明の世界に、
白く小さな、復讐の花が咲いた――。
里山でサボテンが異常繁殖していることを除けば、どこにでもあるありふれた街、藤見原市。
「自由研究ってわけじゃあないんだな」
ごく平凡な高校生、深山樹(みやま たつき)は、
「トーゼンでしょ」
復讐と称して河原でサボテンの種を撒く少女、沢本遥(さわもと はるか)と再会する。
――あたしはこの街に復讐するの。
「そういう恰好で来たってことは、今日も手を貸す気でいるわけ?」
「こういう恰好で来たんだから、わざわざ確認するのは野暮ってもんじゃないか?」
一緒に生態系を破壊する危険なサボテンの繁殖に取り組むことになる二人。しかし――。
「昨夜遅く、藤見原市黒須の路地で接待付飲食店勤務の沢本雪乃さん(37)が頭から血を流して倒れているのが見つかり、搬送先の病院で死亡が確認されたました」
三年前の事件で実の母を失った沢本遥が、復讐と称して河原にサボテンの種を撒く理由は何なのか。
「藤見原市警によると、沢本さんの頭部には鈍器で何度も殴られたような傷跡があり、市内で続発している連続殺人事件の新たな被害者である公算が高いとのことです」
五人の犠牲者を出した連続殺人事件の真実は一体何なのか。
「午後一時二十七分、侵略的外来種、Opuntia Mars 亜種、通称“土喰い”の排除を開始する。一同、かかれ」
そして、復讐計画の終わりに深山樹と沢本遥が見るものは。
「もうすぐだ。すぐにあんたの背中に追いついてやる、ハンマーキラー」
『世界の果ての薄明に、サボテンの花が咲く』
令和4年12月1日(木)19:00 公開開始
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お待たせています。いよいよ来週から『世界の果ての薄明に、サボテンの花が咲く』の公開を開始します。
これまでの予告とタイトルが違うじゃないかと突っ込まれそうですが、どうしても入れ込みたい要素があったのでここに来てタイトルを変えることにしました。
久々の長編、しかもカクヨムコンに参加ということで、わたしも来週からの二か月ちょっとが楽しみです。
さて、カクヨムにミステリー作品を掲載するにあたっていつも悩むのが、公開の仕方です。
Web小説自体は日々更新というのが主流ですが、ミステリージャンルの読者の中には完結してから読むという方も結構いらっしゃるように思います。かく言うわたしもミステリーに関しては完結してから読むことが多いです。
謎の解明を主題とするミステリーだけに、解明されてない状態が続く(ことによったら永遠に!)とヤキモキするのが人の情。とはいえ、ワクワクしながら次の更新を待つというのもWeb小説の醍醐味です。
というわけで、本作では全九章をある程度のまとまりごとに分けて公開していくハイブリット方式を採ることにしました。更新の度、大きな謎が一つ解明されるようになっていますので、完結してから読む派の方でもきっとご満足いただけるかと思います。何よりこの方式なら「未完結で★レビューをいただいても納得感があるからわたしの心が痛まない!」という(わたしにとって)大きなメリットがあります。
というわけで、「これは面白くなりそうだ」と思っていただけたなら、途中でもお気軽に★レビューをいただければ幸いです。よしなに。
令和4年11月25日 mikio@暗黒青春ミステリー書く人
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公開スケジュール
第一部「春の終わり、夏のはじまり」(第一章~第五章)
令和4年12月1日(木曜日)19:00~
第二部「秋をこえて、冬の訪れ 」
第六章 令和4年12月10日(土曜日)19:00~
第七章 令和4年12月20日 (火曜日)19:00~
第八章 令和4年12月30日 (金曜日)19:00~
第九章 令和5年1月〜 ※解決編