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新訳 『ピノッキオの冒険』を読む

前から気になっていた作品を読んだ。

カルロ・コッローディ(1826‐1890)著。
1881年、児童新聞に連載のかたちで発表、子供たちの要望で書きつがれながら3年をかけて完成した。今もなお世界中で読みつがれている、児童文学の名作

ディズニーの影響で一般に知られている『ピノキオ』は原作の『ピノッキオ』とテイストが違うと聞いていた。なるほど読んでみると、ピノッキオにはまるで愛すべきところがない。あえて言えば、それが愛すべきところで、子供というのは、特に他人の子どもというのは、正直、こういう『うざったい存在』なのかもしれない。

ピノキオを作ったおじいさん=ジュゼッペは、なぜピノッキオを作ったのか。
彼が欲しかったのは「しゃべる木でできた人形」で、別に子供が欲しかったわけではなく、面白おかしく金儲けができればいいと思って、人形を作った。しかし、だんだん、自分の子供のようにかわいがるようになる。これは人間的親心、父性というよりは、自分が作ったものを愛でる行為に近いように思える。

だからこそ、ピノッキオが本当に人間になったことを、もしかしたら疎ましく思っているのではないかと考えてしまう。

現在執筆中の短編集『スターシーカー』にピノキオが登場するが、当初予定していたジュゼッペ像は、大幅な変更が必要だ。昔話の本質に向かい合う作業は面白い。

いささか斜めの物を観すぎているかもしれないけれど、そういうことを楽しく思えるからこそ、僕は書き続けられるのだから。

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