父、母、娘、息子、祖母、そして猫。 どこにでもある様な一家に訪れた、夕食前のありふれた風景。 でもその日に限っては、全員が家族に言えない小さな秘密を抱えていた。 積み重なった小さ…

月命日に数日遅れて、私は彼の家を訪ねた。

大切な恋人を失ってしまった僕は、噂で耳にした海へと足を運んだ。 亡くなった人の今の声を聴ける貝殻が、その浜辺に流れ着くという―。

マフィアの末端構成員の俺の前に、謎の女が現れる。 そいつが言うには、どうやら俺は世界を救う運命の持ち主らしい。 俺の一挙手一投足が世界を救うんだと。 そんなバカげた話があるか？ふ…

引っ越して少し経った友人から、「少し話を聞いて欲しい」と僕は呼び出された。 「初めから違和感があったんだ」…彼はそう切り出した。 ―――――――――――――――――――――…

ごくありふれた恋が、 咲いて枯れるまでの、 どこにでもある かもしれないお話

さるかに合戦。 猿によってひどい目に遭わされた母ガニの仇を、仲間を集めた子ガニが討つ、有名な昔話。 さて…皆さんは、こう思った事はないだろうか。 「良くまぁこんなメンツでうまくい…

高校２年生の僕は、遅い初恋に胸をときめかせていた。 誰にも知られる事のない、秘めた恋。 そのはずだった。 ５分で読書コンテスト用の書き下ろしです。

鳴かず飛ばずの若手お笑いコンビ。 煮詰まり、つまづき、それでもなお、二人には見たい景色があった。

しがない探偵の俺は、その日も惰眠を貪っていた。 起きた俺を迎えたのは、とある依頼人。 「自分の部屋に侵入する男がいるようだ」彼女は言う。 詳細を聞いていた俺は、やがてある事に気付…

しがない探偵の俺は、街角で身なりの良い老人に声をかけられた。 「わしが死ぬ時、独りにしてくれ」 不思議な依頼の正体は、ちょっとした立てこもりだった。 老人の言葉が意味するところと…

しがない探偵の俺は、行きつけの立ち飲み屋で常連の女性に声をかけられた。 彼女の同僚に好意を寄せる男がいるらしい。それ自体は何の問題もないのだが、話を聞く限り、男の様子はどことな…

個人経営の居酒屋でかわされる、従業員同士の他愛もない会話。 いちいち細かい彼の今回のテーマは、どうやら最初の一杯についてだった。 KAC2024第６回お題「トリあえず」参加作品…

企画ものです。