章題として使っている「深い青空の見上げかた」ですが、これにはちゃんとした意味があったりなかったりします。
というのもこれ自体は「空の深さを知る」つまり荘子における「井の中の蛙大海を知らず」の続きである「されど空の深さを知る」から来ているわけですが、その「されど~」の部分はどうやら日本に来てから付け足された言葉らしいのです。だから、急いで荘子に凸して載ってないじゃんクソが、なんて言わないように。
さて、皆さんはクソアニメとは何を思い浮かべるでしょうか。自分の中にはもう二つのあれが巨塔のように立ちふさがっているわけですが。お気に入りの作品がアニメ化して、汚される。クソ辛い経験です。ましてやその作者の心情を慮ると……ってやつです。
とはいえ、自分の胸の中にしまっておきたいクソアニメの苦い記憶も多少なりともよかったと思える面があったりします。
ですが、紅坂朱音の『五反田の枢機卿』はそういう救いようというやつを極限まで削ぎ落としていきたいと思います。
物語の進行上必要な救いようさえもクソの要素としてうまく利用したい。この「深い青空に見上げかた」ですが、章として結構長くなるかもしれません。この作品ともども、長くお付き合いいただければと思います。