※こちらは本編のネタバレを多分に含んでおりますので、
本編をご覧になった後にお読みになることをお勧めいたします。
銑鉄と雄飛は、とにかく「かっこいいキャラクターとは……」ということを突き詰めた結果このようなキャラになりました。
銑鉄は、主人公として活躍する雄飛を受け止めてくれるキャラ、というイメージです。銑鉄は度量が広く、懐が深く、頼ってくるものを見捨てないタイプと思って書いています。
私は「最強キャラと凡人」の構図よりも、「皆どこか弱点があり、皆でその穴を埋める」ようなキャラクター構成が好きなのでそうしました。
彼の泰然としているイメージは友人から拝借しました。
欲しいものは手に入れる、という強気な面もあるのですが、今回はあまり彼のわがままな面は出ませんでした。
あまりぺらぺらと喋るタイプではないため、なかなかその性格が掴めず、キャラクターを引き立たせるようなエピソードをひねり出すのに苦労しました。
あるとき、ヒロインの花を、「雄飛と銑鉄の幼馴染」から「仲の良い友人の妹」に変更したことで、銑鉄の人となりの出る連続したエピソードが出るようになり、こういう形になりました。
最初のヒロインは「雄飛のことを好きな遊女で、かつ銑鉄もその女を憎からず思っている」という設定でした。
しかし、それだと銑鉄に遠慮と距離ができてしまい、お話として求心力が弱かったので変更しました。
その遊女と銑鉄がふたりで凧揚げをするシーンはとても気に入っていました。また、その前のヒロインでは銑鉄がなぎなたの練習を手伝うシーンもありました。
また、遊女の日常やそのつらさはもっと細かく書いていたのですが、割愛しました。
銑鉄の「強い」という設定についても、とても考えました。
銑鉄を描くため、武道を習い始め、そこで会った方々の印象やお話を参考に描かせていただきました。体験でキックボクシングにいきました。
しかし、あたりまえですが、武道のさわりのさわりのさわりにしか触れていない私が、武道の達人を書くのは無理なのでは?と思いました。
しかしもう「これが書きたいんだから書くしかない。誠意だ」と思って最後を書きました。時間内に自分ができることはすべてやった結果なので、そこは自分を褒めてあげられる気がします。
アクションシーンは最初まったくわからず苦労したのですが、他作品を読んだり、武道を習ううちに動作の順序が書けるようになってきたのは大きな収穫でした。
得意なシーンを書くのも大事ですが、いろんなシーンをまんべんなく、平均的に書けるようになれば幅が広がるので、挑戦するのもいいことだと思っています。