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即死魔法で殺菌

 先日、なんかぺけったーで『即死魔法』という言葉がトレンドに上がってたので何かと思ったら、とある作家が『即死魔法を公衆衛生というか殺菌に使う』というような発言をされてたのが始まりの様でした。

 うーん。私は結構細かいところ気にするので、そもそも『即死魔法』がどういうものなのかから考えちゃいますね……。
 生物の動きを停止させてしまうとするなら、そもそもで生物とはなんぞや、となる。これで解釈が揺れるのはウィルスですね。
 ウィルスは単独で自己増殖できないので生物ではないという研究者もいれば、遺伝情報を持ち自己進化ができるから生物だという研究者もいる。

 さらにいえば、『生命を止める』というのはどういうことなのか。
 現状、地球に関してはウィルス含めて、生物はたんぱく質で構成されています。
 ではこのたんぱく質の機能を停止するのか。
 生物の体のほとんどはタンパク質で作られており、この機能がすべて停止すれば、確かに即死するでしょう(『たんぱく質の機能を停止』というものがどういう状態かについてはとりあえずおいておきます)
 また、病原菌やウィルスでもその構成要素はタンパク質であり、やはりタンパク質を停止または破壊するという効能は、即死魔法として有効そうで、殺菌効果もありそうです。

 ただ、たんぱく質を破壊するだけなら、別にそんな強力な魔法は要りません。
 基本的に、人体のほとんどのたんぱく質は大体45度もあればほぼ破壊されるからです。
 人間が風邪をひいたりすると熱を出すのは、体内の温度を上げることで、体の免疫機能を高めると同時に、体に害のある病原菌やウィルスを高温によって弱めるためです。
 ただ、上がりすぎると病原菌やウィルスを死滅させられるかもですが、体のたんぱく質も壊れる(しかも直らない)のでまずいわけですね。

 よって、単なる殺菌というだけであれば、それこそ一時的に殺菌したい部分について50度程度まで上げればいいだけです。それでたいていの病原菌、ウィルスは死滅します。
 なんなら、熱湯ぶっかけるでもOK。最強の殺菌方法です。

 ちなみに熱湯が劇的な効果を持つのは、かつて実証してまして。
 多分世界一嫌われてると思われる某黒光りするやつに、昔弟が(反射的に)熱湯ぶっかけたことがあるんですよ。
 一瞬で動かなくなったそうです。人間でも熱湯風呂に入ったら短時間で死ぬでしょうが、まあ普通そんな状態にはなりません。ただ、コップ一杯の熱湯でも小さな生物の場合で、かつ変温生物の場合は致命的なダメージが出るようで。
 ちなみに実際には60度程度でいいそうです。
 カビの除去などに高温のお湯が効果があるとか聞いたことある人もいるかと思います。

 言い換えるなら、対象の内部温度を50度程度に引き上げる魔法は、それだけで確実に効果のある即死魔法です。
 さらに転じて、要するに一定空間内の温度を強制的に指定の温度に引き上げられるだけで、即死魔法になるわけですね(体内まで上がるとする)
 とたんにエグくなってきましたな(ぉぃ
 実際、高温でウィルスや病原菌その他はほとんどが死滅する(稀に死なないのもいるそうですが)ため、料理では火を通す頃が重要だし、生水は一度煮沸しろと言われるわけですね。

 ただ、一般的なゲームの即死魔法って、たいていの場合は循環器系か呼吸器系を強制停止させるものではないかなぁ、とは思うんですが。
 つまり心臓または肺の機能を強制停止する。要するに心臓麻痺か呼吸停止をいきなり起こすような感じですね。あとは血液の流れを止める(凝固させる)とかでしょうか。
 なのでそういう機能を持つ生物には効果があるでしょうが、それ以外、病原菌やウィルスには全く効果がないのではないかと。

 普通に考えて、そんな繊細な即死魔法があったとしたら、いちいち対象指定なんてしてられない。
 おそらく範囲すべてのたんぱく質を破壊するようになるでしょうから、うっかり巻き込まれたら最悪でしょう。

 結局『即死魔法』がどうやって相手を即死させるかという点次第ですが、殺菌等に使うにはちょっと……大変じゃないかなぁ、とは。
 それなら素直に60度くらいに加熱できればそれで終わりなわけで、そっちのが効率がいいと思う……。あとは、熱湯ぶっかけて一瞬で乾燥させる魔法なら、それで十分な殺菌効果があります。というか人間にも効きそうだな……。

 なお、元の『殺菌』という概念ですが、そもそもでそういう概念が出てきたのは、ごく最近。なんと19世紀の半ば。有名なのは前に別の話題でも取り上げたかもしれませんが、あのナイチンゲールですね。厳密には清潔にするようになったのですが。
 彼女が登場するまでは、医師の処置室が血糊で汚れてるのが当たり前だったというのですから怖い怖い。そんな場所で処置されたらそりゃ感染症で死にますわな。
 とにかく『清潔にすること』が一番重要で、『殺菌』という概念それ自体は、病原菌やウィルスの発見されてから。
 中世欧州とかがどれだけ不衛生であったかは、今更語るまでもないでしょう。

 ちなみに拙作『転移直後に竜殺し』は魔法めいた力がありますが、意思がある生物の内部には魔法的効果はほぼ及ばない設定になってるので、基本即死魔法に類するものはありません。
 でも、熱湯を頭の上に発生させてぶっかけるってのは可能ですね……(ぉ
 まあそれが出来るなら致死性のダメージが出る攻撃法術の方が早いですが(笑)
 そして不衛生であることは……まあ現代人が行ったら耐えられるはずはないから、ちゃんと理由付けして衛生観念はあることになってます。

 ……後でこれ、雑記にも転載するかな(ぉ

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 ●転移直後に竜殺し
 https://kakuyomu.jp/works/16817330660905115993
 大学生になる直前の青年が異世界転移して剣と魔法の世界を冒険するお話です。
 まだ主人公の明確な目的とか見えてないですけど。
 基本二日に一回0時に更新。
 もうすぐ第一部が終わる予定。
 なろう版あり。たまにイラストが付きます。
 今から読むならこちらの方がまだマシ……?
 https://ncode.syosetu.com/n7219jf/

 ●白雪姫の家族
 https://kakuyomu.jp/works/16817330656060480073
 超スローペースで進む年の差(八年)ジレジレ恋愛モノ。
 なお、時間進行それ自体は遅いわけではなく、すでに開始から二年半経過。
 高校一年生だったヒロインも今や大学生になってます。
 でもまだくっついていません(笑)
 基本、今は四日に一回、0時に更新。
 こちらもなろう版あります。
 と言っても、第一部までの予定ですが。
 https://ncode.syosetu.com/n5425jb/

6件のコメント

  • >ちなみに拙作『転移直後に竜殺し』は魔法めいた力がありますが、意識がある生物の内部には魔法的効果はほぼ及ばない設定になってるので、基本即死魔法に類するものはありません。

    我らがヒロインエルフィナ嬢が心肺停止したような......


    いえ、なんでもないです......


    そう言えばちょっと前に即死させるアニメありましたね。
    異世界にバスごと飛ばされましたのが。
    その前は「死のノート」が有りましたがあれは魔法じゃないしなぁ〜
    しかも心臓停止だしなぁ。
    電子レンジと同じで電磁波で中までしっかり温めてあげれば即死かしら?
  • > さいとう みさき 様
    ええ、だからあれは作中でも『ありえない』とされてたわけですね。
    まあかなり特殊な代物でしたので。
    ちなみに死亡状態で治癒してから蘇生するゾンビ蘇生法は稀にあるのがあの世界です(笑)

    即死させるアニメありましたね。あれはほぼ『概念』としての死を付与してた感じですが。
    デスノートは対象の顔と名前が必要なので、完全に対人専用でしたね。
    心停止は死因を書かない場合だけで、事故死とかもいけましたが、あれはあえて全部心停止にしてましたよね。
    他にもタイプムーンの『空の境界』の主人公は、生きているなら誰だろうが(神ですら)殺すことができるという設定がありましたね。

    電子レンジも最強の殺菌方法ではあるかと。
    なんせ有無を言わさず水分が熱せられるから……。
  • 即死魔法、考察がめっちゃ深い。楽しめました(^ ^)
  • > 福山典雅 様
    即死魔法っていっても、どういう効果で即死するのかによって結構色々違いますからねぇ。
    というのをそれっぽく適当にやりました(w
  • そんな無差別殺菌の魔法を使ったら、体内にいる危険な毒素を分解する細菌も殺してしまって、術者が死亡確定(即死ではないものの)なんてなる可能性があるような……(^^;)
  • > 川野遥 様
    今は傷口は水で洗うだけで消毒はしない方がいいと言われてますしねぇ。殺菌も良し悪し。
    かといって、そういうのを識別して殺菌するような便利な魔法はさすがにちょっと都合が良すぎる……(笑)
    『菌』全て抹殺する魔法はある意味人を死に追いやる魔法ですな(マテ)
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