近況ノートでひっそり短編を連載します。
私の短編で登場する「マミさんケンタくん親子」が主人公です。
ケンタ君、小学二年生になりました。
自転車操業不定期連載。
ジャンルは現代ドラマ。
テーマは夏休みの宿題。
近況ノート連載なので、コンテストや評価とは無縁の世界です。
だからいつでもブラバOK(`・ω・´)b
お時間のある時に、ふらっと覗いていただけましたら嬉しいです。
🌻🍉
さあっと血の気が引いていくのがわかる。
目の前が白くなっていく。
曖昧な視界の先に、鼻を赤くして目に涙を浮かべている息子、ケンタがいる。
彼が今、手にしているのは、半分位手つかずのドリル。そして何も書かれていない原稿用紙。
私は今、ケンタの夏休みの宿題であるドリルが半分残っている上に、読書感想文が手つかずであることを知った。
今日は、夏休み最終日だ。
「ドリルは一日一ページずつやりなさいって言ったでしょう!」
「やってたよう。最初はほら」
それは見ればわかる。だが最初だけ飛ばしてもだめなのだ。出来がいまいちでも、途中多少休んだとしても、最後までやらなければ。
最近、Web小説投稿サイト「カコヨモ」で、長編をエタッてしまった自分にブーメランが刺さるのを感じながら説教する。
ただ、これに関しては私にも責任がある。ケンタはまだ小学二年生。私が毎日声掛けして、採点して、応援してあげればよかった。
ドリルを確認する。ページ数は膨大だが、一ページあたりの問題数はそれほどでもないので、今から頑張ればなんとかなるかもしれない。
しかし。
「ああ……ラスボスを倒すことばかり考えていて、中ボスを忘れていた……」
「ラスボスは七月のうちにたおしたもんっ」
そう。夏休みの宿題のラスボス「自由研究」は、市販の実験キットを使って早々に終わらせていた。
自由研究を残しておくと後で苦労する。それは己の経験上嫌というほどわかっていたので、七月に入ってすぐにネタを探し始めていたのだ。
しかし、ラスボスを倒していたことで気のゆるみがあったのだろう。「読書感想文」のことは、すっかり頭から抜け落ちていた。
外ではツクツクボウシが私たちをからかうように鳴いている。
エアコンが効いた部屋だというのに、額に嫌な汗がにじむ。
読書感想文について、ケンタは「好きな本を読んで書きたい」と言っていた。だが。
その「好きな本」を、今から選ばないといけないのだ。