いま連載している「神の冬、花の春」は、91年頃の作品ですが、私がデビューしたのが、1988年なので、わりと稚い所が目立ちます。
そもそも私、小説家になるつもりではありませんでした。公務員になろう、と思って勉強していました。
それが、試験にみんな落ちて、とにかく食わなければならないので、アニメ雑誌「アニメージュ」でバイトをしていたら、偶然、デビューの可能性が出て来た、というようなことです。
公務員は、たしか国家II 種だと思いますが(他に、東京都と小平市の試験を受けています)、面接にはどうにかこぎ着けたんですね。その面接が、まあひどかった。いまでもはっきり覚えています。
私「失礼いたします」
面接官「どうぞ」
私「はい(椅子に座る)」
面接官「まず、なぜ公務員になろう、と思ったのですか」
私「仕事を通じて、世の中に貢献したいと思ったからです(本気)」
面接官「でもそれは、一般企業でもできることですよね」
私「そういえばそうですね……」
面接官「……」
私「……」
面接官「では、これで終わります」
最悪だわ(笑)。
まあ、おかげさまで、いま、プロの小説家としてやっていけているんですが、あれはひどかったなあ……良い子は真似をしてはいけません。