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編集者にかみつかれた話

 私は仕事の都合で、こういう近況ノートは、溜めておいてアップするしかないんですが、どうやらこれは、消えてしまうものではないようですので、皆さまは、マイペースで少しずつでもお読み下さい。
 さて、いま連載中の「神の冬、花の春〔アヴェニュー〕」ですが、私のデビュー作「夏街道〔サマーロード〕」、その続編の「水路の夢〔ウォーターウェイ〕」の、完結編に当たります。30年ほど間が空いたのは、事情があってのことですが、それはまた別の話として、タイトルのことです。
 『夏街道〔サマーロード〕』を出したときに、担当者が、「知り合いの編集者に読んでもらったから」と、手紙を渡してくれました。いや、驚きましたね。ヘイトスピーチの嵐です。揚げ足を取りまくって、それがことごとく、的外れなのには、いまの私なら、「そいつのハイヒールにとがった小石が入りますように」、ですませますが、当時はナーバスだったので、こたえました。
 中でもひどかったのは、「『夏街道』が『サマーロード』で『水の旅(最初はこういうタイトルでした)』が『ウォーターウェイ』って、『天使〔エンジェル〕』と同じじゃないか」といういちゃもんです。いや、いちゃもんではすみません。私は最初、水淵季里の小説は3部作で、「サマーロード」「ウォーターウェイ」「アヴェニュー」で、「道」を意味する三つのことばを付けよう、と思っていたからです。第一に「水の旅」を、どう直訳したら、「ウォーターウェイ」になるのか、教えて欲しいものです。
 いつか復讐してやる、と思いましたが、その「知り合いの編集者」の会社はつぶれたらしいんで許しておきますが、いくら「編集者の話は聴く」がモットーの私でも、最初にこういう人に当たっていたら、小説家はあきらめていたかも知れません。
 とにかく、「批評」ではなく、「非難」をすることが当たり前だ、と思っている人は、どこにでもいるものですね。そういう人たちの靴に、とがった小石が入りますように。

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