お忙しい中読んで下さりありがとうございます。
ひと月ほど日本にいました。いやぁ暑かったですね。今年はパリでも40℃を経験してしまったので、多少の免疫はついていたと思ったんですが、昼間はやっぱり堪えました。フランス語で日差しが強いことを「ぶん殴られるような」というんですが、まさにそんな感じ。
日本で好きなのは夕暮れ時です。
フランスの夏は日没が遅くて22時ごろにやっと暗くなるので、午後の終わりには太陽が傾きはじめ、どこかから夕方のメロディが流れてくると、ああ日本にいるのだという感慨が深くなります。なんだか懐かしいような甘酸っぱい気持ちにさせられる時間。滞在中は天気が良かったおかげできれいな夕焼けを存分に味わえました。
暑さが和らいだあとの夜風も気持ちよく、夜になるといつも東京の空を眺めていました。
二階建てのアパートがひしめく狭い通りと、その先に果てしなくそびえるビル群の明かりが点滅する光景はいかにも東京らしく、ささやかな生活の気配と同時に何もかも呑み込んでいきそうな凄味が混在しているように見えます。華やかで孤独で、東京の夜景にはパリとは違う情緒を感じるのです。
フランスに帰ってきたとき、ほっとするのと一緒に、ぽっかりと心に穴が空いたようなぼんやりとした寂しさがこみあげてきました。まるで日本での時間が急に遠くなってしまったみたいな、束の間の夢だったみたいな、なんともいえない切ない気分。
アパートの空気を入れ替えながら窓の外を見ると、発つ前の夜に東京で眺めた月と同じ形の月が出ていました。昨日の今日だから当たり前なんですが、ゆうべの続きの月が浮かんでいたのが無性に嬉しかった。どこで見上げても月は同じなのだということを今さらのように感じました。
なんて、おセンチなことを書いていますが、仕事を再開して普段の生活に戻ることで、少しずつ切なさも消えていくのかなと思っています。
それにしても時差ぼけがひどくて、まずは体がもとに戻って欲しい。
しばらく落ち着いてパソコンに向かえなかったので、また時間をみて何かしら書いていきたいです。そのときはどうぞお付き合いくださいませ。
写真は羽田の近くから撮った夕暮れです。
