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『死んだ山田と教室』 読了

男子の青春のくだらなさと爽やかさと、彼らが大人になっていくにつれ、何か取り残されていく切なさが好きな一作です。

設定としては、数日前に死んだはずの山田の声がスピーカーから聞こえるというところから始まるのですが、この設定だけみたら、ホラーかなと思うかもしれませんが、死んだ山田がとにかく明るく振る舞っているので、全くホラーではありません。

何故かスピーカーに取り憑くことになった山田ですが、クラスのいろいろな問題に絡みながら、男子高校生特有のくだらなさと、進学校特有の悩みを抱えながら、皆の卒業を見送ります。

普通なら、ここで話を終わりにしようと考えるものですが、そこからまだ続くのが、この作品の異常なプロット。こんな設計、なかなかできないなぁ。作者の環境が作った設計なんでしょうねぇ。

小気味いい文章で何回か笑わせてもらいましたが、最後は切なく寂しくも希望の持てる終わり方でした。映像化しないほうがいい小説ですね。

ふと気付いたけど人称問題。気にならないけど、一人称ではなく三人称っぽいんだけど、本当に三人称かわからない。章ごとに視点が変わっていたっぽいけど、誰の視点なのか気にならなかったです。こんな書き方もあるんだなぁ。

メフィスト賞のレベルが少しだけ分かった気がします。

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