都内某所、駅ナカのカフェ
黒浪「アラナさん、ついについに、『七剣聖』が8000pv突破ですよっ!」
アラナ「8000、ですか。なんだか中途半端ですね」
黒「いや、まあ、そうなんですが、スゴいですよ! 8000ですからね、8000!」
ア「★の数は相変わらず寂しい限りですけどね」
黒「……アラナさん、もしかして今日ちょっと機嫌悪いですか?」
ア「別に」
黒「……いや、機嫌悪いですよね」
ア「別に」
黒「そのネタ、もう古くて最近の若い子はわからないですよ」
ア「……このカフェ、少し暑くないですか?」
黒「アラナさんがそんな分厚い鎧なんか着てるから、そう感じるんです」
ア「あなたがわたしの私服を用意してくれないからこの格好なんですよ!」
黒「……そうでした、すみません」
ア「……」
黒「…………」
ア「あの、」
黒「はい?」
ア「この、パンプキンケーキ、注文していいですか?」
黒「あ、どうぞ」
十分後、美味しいケーキを食べてアラナはちょっとご満悦。
黒「ええと、それで今日相談したかったのは、どうしたら『七剣聖』をさらに多くの人に読んでもらえるか、ということでして」
ア「そんなの簡単ですよ。★を増やせばいいんです」
黒「いや、それが簡単に出来たら苦労しないんですが……」
ア「じゃあ、無理ですね」
黒「そこをなんとか! 考えましょうよ!」
ア「無理ですよ。あなたがちょこちょこストーリーとは関係ないエッチなシーンを入れるから、女性読者に敬遠されてるんです。わたしにも、あんなことやこんなことさせるし……」
黒「やっぱり、そこが原因でしょうか」
ア「そうだと思います。そうじゃないとしたら、シンプルにあなたの筆力が不足している、ということでしょう」
黒「ズバリ、ですね……」
ア「わたしも含めてヒロインはみんな魅力的なんですから、原因はあなたか、主人公にあるとしか考えられません」
黒「そうですね……」
ア「まあ、といってもこのまま手をこまねいていても仕方がないですし、わたしたちも手を打ちましょう」
黒「ど、どんな?」
ア「スバリ、エッチシーンの過激化!です。もう女性読者は諦めて男性読者向けに特化するのです! 昼夜を問わず、バンバン!バンバン!ヤればpvはうなぎ登り!」
黒「それは無理ですね。ここ、カクヨムなんで」
ア「いいじゃないですか、バンされても! 一時的にでも夢が見れたら!」
黒「嫌です…………というか、あなた、本当にアラナさんですか?」
ア「えっ」
黒「アラナさんが、エッチシーン増やせなんて冗談でも言うはずない! お前、本当はエロウラだろ!」
謎の人物「……違います」
黒「じゃあ、オリガだ! 間違い無い!」
謎「…………違います」
黒「そんなっ、じゃあお前は誰だ! 正体を現せ!」
謎の人物の姿が歪んでボヤけ、そこから現れたのは────、
黒「い、イルマぁっ!?」
イルマ「そんなに驚きますか」
黒「まさか君が、エッチを増やせ、なんて言うとは」
イ「『七剣聖』の人気を伸ばすためにはそれしかない、と考えただけです」
黒「いやでも、本当にバンされちゃうから、できれば他のアイデアを……」
イ「わかりました。では、キャッチコピーを変えましょう」
黒「そうか、それはアリだな……」
イ「私たちヒロインがひとりずつ『七剣聖』のキャッチコピーを考えて、数日ごとに変えていく、というのはどうでしょう?」
黒「それ、いいな! よし、それでいこう!」
というわけで、これから『七剣聖』は各ヒロインが考えてくれたキャッチコピーをドンドコ採用していくことにいたしました。
めでたしめでたし。