先々週のリフォームでの出来事。
キッチンに脚立を立てて、天井と壁の境にある廻り縁と呼ばれる部材の状態を確認した。
「こりゃ、バールじゃないとダメだな」と玄関に置いたバールを取りに行き、後に付いてきたカミさんにバールを手渡し、自分はバールに必要なハンマーとマイナスドライバーを持ってキッチンに戻り敷居を跨いだ瞬間、ゲシっという音がした。
「あー、タイミングよすぎ〜」
カミさんが爆笑している。
一足先にキッチンへ戻ったカミさんは、ひとりで脚立に登り廻り縁にバールを差し込み、「無理だな」と諦め振り降ろしたバールがちょうど部屋に入ってきた私の頭を直撃したらしい。
「いてーよー、いてーよお」と床に伏した。
「どれ、見せてみろ、あ 、血が出てる」
「ひええ、妻にバールで殴られた、妻にバールで殴られたあ」と連呼する私を、
「ネタにするんじゃねーぞ」と脅す加害者に、
「そじゃなくて、まず、『ごめんなさい』でしょー」などと説教めいたことを言いながら、
「絶対、ネタにしてやる」と心に決めていた。