今回の公開内容
ミカミカミ「ホァホァしちゃう」
（ミカちゃま、ホアルゥのことどう思ってましゅか？）
きゅるん、と可愛い効果音がつきそうなポーズで、ホアルゥが尋ねる。
勉強の時間中だったミカは、本から顔を上げる。
指導していたクリス、横で別の本を読んでいたヤー、床で寝ていたオウガも反応した。
「可愛いと思うよ」
（そうじゃなくて、女性としてでしゅ！）
どさっ、とヤーの手から本が落ちた。
しかしホアルゥは構わずにミカの顔に詰め寄る。
机から腕を辿り、肩へとよじ登っていく。
手の平サイズの彼女にとって、人間は動く山のようなものだ。
背中の二枚羽を使えばいいとも思うが、頑張る健気な女の子アピールを忘れたりはしない。
（さあ、ミカちゃま！）
「えー……と。よくわかんないや」
女性に対して綺麗や可愛いを使うのが普通だと思っていた。
それ以外の感情については、言葉で表現する方法が乏しい。
親しみやすい、も少し違うような気がしてしまうほどだ。
（どうして急に？）
静観していたアトミスが口を挟む。
ホアルゥとは大体は口喧嘩だが、一番の話し相手も同じである。
彼女の行動の緩急差が激しいことは知っているが、その理由は気になってしまうものだ。
（だってミカちゃまラブでしゅから！）
（頭悪そうな発言）
（自意識過剰マンより素直でマシでしゅ）
（また喧嘩するかい！？）
いつも通りの喧嘩に発展しそうなところで、オウガが起き上がる。
「まずホアルゥが考える自分の魅力ってなんだよ？」
（ほぁ？）
予想外の問いかけだったらしく、ホアルゥが固まってしまう。
全く考えていなかったらしく、ミカの肩の上で右往左往している。
（ホアルゥは可愛くて、明るくて……朗らかでしゅ！）
「思ったよりすらすら出てきたな」
（僕より自意識過剰なんじゃないのか！？）
悪口にも似たあだ名を気にしているアトミスが主張するが、ホアルゥは無言で流す。
「確かに。ホアルゥがそばにいるとあったかいもんね」
（ほぁ！？）
「ほわほわするっていうか、寒い日の暖炉みたいな暖かさが俺は好きだなぁ」
少しだけ頬を擦り寄せてきたミカ。
それが親愛故の行動とわかり、ホアルゥの顔が真っ赤になる。
それこそ火が噴きそうなほどの赤さで、背中の二枚羽も勢いよく燃え上がった。
（ほぁあ、あ、あ〜）
そのまま溶けるかのように、ミカの肩上で膝から崩れ落ちてしまう。
嬉しさと恥ずかしさでキャパオーバーしたホアルゥにより、この話はお蔵入りになった。
そしてミカの勉強時間は無情にも再開した。