五千文字更新の楽しさに気がつき、一話目はあまり考えずに書ける内容だったので早め更新です。
しかしいつも早め更新は確約できないのが心苦しいですね。
かつて地獄に堕ちた女がいた。
なにも知らずに、言われたまま、人を殺めた。
その罪は重く、地獄の最下層で竜に食われるはずだった。
しかし女は無垢だった。恐ろしい竜相手に微笑み、手を伸ばした。
竜は恋をした。女を愛したくなり、地獄から逃げるために飛んだ。
地上で最も美しい花畑へ。長い時間を女と過ごした。
けれど女の魂はいずれ尽き果て、消えてしまう。
己が犯した過ちと女の愛おしさに、竜は尽きぬ涙を流した。
あまりにも泣き喚き、咆哮で大地を震わせ、いつしか命が尽きた。
竜の体は山に。尻尾は川に。流した涙は小さな連れ子山へ。
そして花畑と女の墓は万年雪に守られ、山頂で守られる。
これが天領山ヘルヴォールの伝説である。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885804304/episodes/16816410413876318815