城郭都市『ザシークレットガーデン』 の一番守るべき国の心臓部、ジオラマ部屋は、ツクヨミ曰く城郭の真ん中ら辺にあるそうだ。
遥か昔、城郭都市『ザシークレットガーデン』が空にあった頃、巨大な建造物が空にに浮かぶ為に必要だった巨大魔道具が数機一番下の最深部にあって、今森から出入りしている最上部の剥き出しの城郭部の真ん中の城…というより砦に近い部分に制御室があったようだ。此処に最初に案内してくれたジオラマ部屋への道がある。
当時は、一番偉かった人が薔薇が好きで、武骨な城で色味にかけると、最上部に当時高価だった薔薇を植えまくったらしい。最上部の砦や城壁など数多の薔薇に覆われ、沢山の兵士が常駐し、空から結界を壊そうとする大型の魔獣や魔物の処理にあたっていたそうだ。
主観として、最上部の大きさは東京ドームくらいの面積かな?もう少し広いかもしれないが、それ程大きくもなく小さくもなくと言うところだ。
地上の国から使者が来る時は、飛行型従魔で訪れるていたようで、まだちゃんと魔獣用の停泊場も崩れていたが原型がある。
何があったかは知らないが、神の怒りに触れ城郭都市『ザシークレットガーデン』 が堕ちた時、最深部は地上に削られ空に浮くための魔道具は消失した。
最上部にいた兵士は地上に投げ出され、国民も土に根ざさぬ生きとし生けるものが、魔道具から吐き出され地上に落ちたそうだ。
最上部の数多の薔薇の下にあった魔道具だからアンダーザローズ。その中心部、国の要の部屋は上層部しか出入りができない秘密の部屋。
そして、薔薇の下での事は口外してはならないという古いしきたりで、辛うじて生き残った人々も誰一人としてアンダーザローズの事を口外する事なく余生を過ごし、その人たちが身を寄せた国では謎の技術、幻の国、シークレットガーデンと言う名がついたらしい。それ以外からはオムニア・ウァーニタースとも呼ばれてたそうな。
かつて俺が住んでいた地球の古い都市ローマでも、似たようなしきたりがあった。もしかしたら俺の知ってる事例で言語翻訳が機能しているかも知れないけどね。
辛うじて残った最上部と心臓部は、そのまま一万年以上の時間を他国民に知られる事なく静かに過ごし、やがて森で覆われた。
そんな正しい国の名前さえ失った寂しい歴史が詰まった場所を移動し、ジオラマ部屋へと続く扉を開く。
一族の人々達がいるであろう場所に、浄化済み出来たてほやほやの依代の鏡をセットする。
(ツクヨミ。方角は合ってる?)
『うーん。もうちょっと右…よりですね』
(右…こんくらい?)
『…丁度いいです。*^.?#•*の領域なので、個人は詳しく特定できませんから、呪を実行した者がいると思わしき城を中心とした国全体に照射してる角度になります』
(ありがとう)
古来より鏡には呪いを反射する効果がある。
一族の人々達を起点にノートメアシュトラーセ帝国に反射した光が当たるように鏡を調節した。
魔除けの勾玉を自分の首にかけ、双子剣も持ってきた。剣にも邪を祓う効果がある。
邪魔な山脈などは、ツクヨミの俺の魔力を蓄積させた空間魔法でぶち抜き、一直線に目標までの道を作ってもらった。
俺には神職のような力はない。だけど神様の力を借りれる。
二礼二拍手
(神様。最高位天照大神様。お願いがあります。どうか呪われた人々をお救い下さい。苦しんでいる魂達への鎮魂もお願いします。)
いつものように蛇腹の御朱印帳が、スルスルと俺の周りを回り始める。
ある一点で止まり1匹だけ、いつもより大きく立派な金色に輝く雄鶏の神使がぴょこんと俺の前に現れた。
天照大神を祀る神社はわりと多い。俺も何枚か拝受したが……1柱?
『信心深き異界の者よ。此処からでは些か遠すぎて鎮魂の祝詞は届かぬ。呪返しならば、その|石凝姥命様らの力がこもった神器を用いて叶う』
「喋った!あ…申し訳ありません」
『うぬの左目の異界の神のカケラも話すであろう?神使たる我が話したとて何ら不思議はあるまい』
(その通りです)
『さて。うぬの願いを叶える事は出来るが、この世界では天照大神様のお力はこの朱印のみ。他の者らは神力を小出しにしているが、その48名分の呪返しの願い、重すぎるがゆえ、神力の源たる朱印は綺麗さっぱりと消えるが、それで良いか?』
朱印が消える?もしかして、今まで願った神々の朱印がちょっと薄れてきたなとは思ったけど、気のせいかと思ってそのままにしていたが…力が少なくなってきたと言うことか。
『天照大神様の神使様!はじめまして!お話中失礼しますが、そこで徳ポイントなのです!!』
(あ。ツクヨミ?!)
『ほう?徳ポイントとな?』
『私ツクヨミが、那由多の能力をこの世界でも活かせるように、頑張って変化変革させたのです!なんと!!徳ポイントを使う事によって神力が宿った朱印を徳の強さに比例して復活させる事が出来るのです!!』
左眼からドヤァの気配が伝わってくる。TVショッピングみたいに、神使様の前でセールストークをかますツクヨミに空気を読めと心から思う。
『成程の。天照大神様の姉弟の名を分けられた、異界の神のカケラよ、その者に、徳を積ませると言う事だな』
『はい!』
『して、我らが天照大神様の神力を復活させる徳とはいかほどのモノか?』
『50…いや5000万徳ポイントで如何でしょうか?!』
(ちょ!神使様が決めるんじゃなくてツクヨミが決めるんかーーーい!)
多分俺は、ツクヨミが実在して、巨大なハリセンがあったら迷わずツクヨミの頭に放っていたと思う。
『5000万…些か少ないとも思うが良かろう。うぬもそれで良いか?』
(はっ!はい!!)
神使様はそれでいいのか…いやでも徳ポイントを貯めるのは大変だ。
毎朝の感謝の祈りで0.5徳ポイント。人助けに1徳ポイントで毎日ご飯を49人分用意し49徳ポイント。魂を助けるのに150徳ポイント。精霊の子以外魂を救ってはいない。5000万徳ポイントまでの道のりは遠い。それだけの効果はあると思う。
『ふむ。では、呪返しを行う』
(宜しくお頼み申し上げます…)
神使様がくるりと一回転し、大きくコケコッコーー!と一鳴きした。
すると鏡のみならず勾玉と剣が一斉に輝き、アンダーザローズの青い屋根の屋敷の庭を照らしながらハッキリと、ツクヨミが作った道筋通りに光の道ができる。
もう一度神使様が力強く鳴くと神器達は一際光りそのまま光は収束した。
『これで呪いは元の持ち主に返った。呪われた者どもも元に戻っていよう』
(あ…ありがとうございました)
この一瞬で人を獣に変えた呪いが弾かれたという。何だか信じられなくてあまりの事に俺は言葉を失いながらも、神使様に深く礼をする。
『ではな。うぬも徳を積み、心を磨くがよい。また会える日に。全ては天照大神様のお力ゆえ。あと供物はもっと多く出されよ。朱印の神使は多いゆえ』
(承知いたしました)
供物…なくなってると思ったら神使の皆さんで食べてたのか…いつのまに…
天照大神様の御朱印達と神使様は大気に溶けるように消えた。
(ありがとうございました)
俺は心からの礼をもう一度し、ツクヨミにもお礼を言った。
(ツクヨミもありがとうな)
『どういたしまして。那由多もたくさん魔力を使って疲れたでしょう。少し魔力が上がったせいかそのまま倒れなくなりましたね。早速、屋敷はお祭り騒ぎのようですよ』
(うん。良かった…本当に呪いは解かれたんだ…)
魔力を使いすぎて突然失神し意識を失うのは、怖い。また、このままどこか違う世界に一人放り出されて行ってしまうのかと思って怖い。
だけど失神せずにやり遂げた。この世界に来て一ヶ月ほどと少し。俺もちょっとずつ成長しているようだ。でも呪われているとはいえ48人分の呪いを相手に返してしまった。相手側がどうなっているか考えるのは恐ろしい。初めて他人を傷つける願いをしてしまった。それでも後悔はない。
鏡と勾玉、双子剣にも感謝を伝え、礼をして大切に収納する。俺はそのままお祭り騒ぎらしい屋敷に向かった。
今日の夕食は、お祝いにたくさん料理を出して、フマラセッパで買った酒で祝い酒だ。
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◆天照大神(太陽神)の加護 極小
⭐︎万物に光明をもたらす太陽の化身、日本では最高位の女神様です。
ご利益は願望成就。願いや望みがかなう事です。
やっと徳pの使い所と城郭都市の由縁書けました。ここまで来るのに長くなってしまって申し訳ありませんm(_ _)m