近未来における、人の死のお話です。義体化技術や医療技術の進歩によって人の死そのものが徐々に無くなっていく過程の中のこと。人の死という概念が希薄になっていくごとに、人は死への耐性が無くなり、死を経験するごとに心が壊れてしまうような悲しみに苛まれる。精神の汚染を起こすその死による感情の揺らぎを抑えるために、政府が死者の代弁をする機器を生み出した。それは確かに遺族の慰めになり得るが、その実魂は存在せず、ただの現代科学の叡智の集合のおかげで死者の代弁が行われただけであり、加えて死が無くなることで弊害が生まれる、って感じ。
舞台は、精神汚染が引き起こされないために人の言動が統制され、更に公益の福祉のためには個人の行動および思考の介入がなされるというディストピア的な世界。カリル・サリンズ監督のマインド・エスケープと伊藤計劃さんすごーーー!!!って思って情熱が滴るあまりに書きました。すごく楽しかったです……。完全に私の趣味……。SFって何かしら現代社会のことを風刺する内容にならなければいけない、と思うのですが、21グラムの慰めは、現代医療技術への風刺かな。細かいところだと、遺伝子操作だとかあとは行き過ぎた公共の福祉。とにかく楽しかったです! この設定がこれだけになるとちょっと悲しいので、次はアイデンティティについてとかそういうくくりで書こうかな!