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アイラブユーが歌いたい

『♪アイラブユーが歌いたい 愛してる 愛してる』
 僕が心から信頼し、尊敬し、愛してやまないSUPER BEAVER。そんな推しの『アイラブユー』という曲を最初に聴いた時の感想は、「なんだこの捻りのない歌は」だった。
 冒頭に記した一節だけで、もはや説明は不要だろう。あまりにも真っ直ぐで、あまりにも安直な一言。ストレートな表現が多い往年の名曲達と比べても、その単調さは頭ひとつ抜けている気がする。『愛してる』という言葉は、一方的に向けられても押し付けがましく感じてしまうだけだ。感情が無い相手から向けられる『愛してる』は、ストーカーから向けられるそれと比較しても大差ないだろう。故に、言う方言われる方双方に、ある程度の信頼関係が必要とされるわけで、当時まだBEAVERが放つ音楽の世界にハマりきっていなかった僕には重々しく、あるいは軽々しく感じてしまう歌だった。
 その後、少しずつBEAVERの放つ世界に沼っていく僕に、認識の変化が訪れる。彼らの音楽は、夢や幻想を語らない。しんどい現実から、現実逃避をさせてはくれない。それでも、今より少しだけ頑張る勇気をくれる。明日を生きる、背中を押してくれる。辛いと思う時にBEAVERを聴いて、心を救われた同志が数えきれない程いる事を知った。そんな折に聴いたアイラブユーは、初めて聴いた時と明らかに違っていた。きっとその違いは、時間をかけてBEAVERに救われてきた信頼の値であり、彼らを知った事での感情の高まりであっただろう。アイラブユーは、今では大好きな曲の1つとなった。
 誰かの心に寄り添うBEAVERの歌に支えられて来たからこそ、誰かを支える姿に憧れる。綺麗事を大真面目に実践しようとする、そんな姿に憧れる。『愛してる』を受け入れる器が、信頼の値であるのならば、その値を積み重ね、広げようとする姿勢に憧れる。SUPER BEAVERという生き方に憧れる。
 だからこそ僕は、僕が大切に思う人達に、アイラブユーが歌いたい。

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