二話で用いた漢詩につきまして、下記に全文を記しておきます。
<秋浦の歌 十七首 其の五 李白>
秋浦多白猿 超騰若飛雪
牽引條上兒 飲弄水中月
●書き下し●
秋浦 白猿多く
超騰すること飛雪のごとし
条上の児を牽引し
飲みて弄ぶ 水中の月
●訳●
秋浦には 白い猿が多く
風に飛ぶ雪のように跳ねまわっている
枝の上にいる子猿を引きよせて
水を飲みながら水中の月にたわむれる
秋浦の情景を詠んだ十七種の内の五首目です。
四句目の情景が目に浮かぶようで大変美しいですね。
漢詩の大意は、猿が雪のようだ、なので、雪を見てこの詩を想起した宰相の君は、発想があべこべなのですが、そこはご愛敬です。