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【書評】自由の命運-国家、社会、そして狭い回廊

Wikipediaによると過去10年でもっとも論文引用数が多かったらしいダロン・アセモグル氏。
現代政治経済の第一人者とも言える氏と、前著「国家は何故衰退するのか-権力・繁栄・貧困の起源」でも共著だったジェイムズ・A・ロビンソン氏との著書最新版です。
と言っても2020年(原版は2019年)と3年前ですけれど。

前著は文庫版を読んでいたので知っていたのですが、新著はちょっと気づかず、別書で記されていて今回購入となりました。


前著では包括的、収奪的という経済システムで国家の良し悪しを図るという形態をとっていましたが、今回はもう少し発展。国家と社会という二つの要素に分け、その均衡された上に自由がある、と指摘しています。
前著でも図抜けていた世界の事例は今回更に発展しており、この一冊で世界の今が大体は分かると言っても過言ではありません。

特に何をやれば国家や社会がダメになるかという例示にかけては天才的なところがあります。そういう点だけで政治家や官僚を目指す人には読んでほしい本ですね(逆用されるかもしれませんが[コラ])。

ただ、あまりに幅広い知識と例が逆に仇となっている部分もありまして、全部を自説にあてはめようとしたために後半部分では「うん、そうかな? ちょっと無理がないか」みたいなのもあります。
また、知識的なものは凄いのですが、統計を使わないという特徴もあるので、統計魔のピケティ氏と比べると解決策の説得力も弱いかなぁという感もありますかね。

あと、いきなり読むと難しいです。
文庫本になっている「国家は何故衰退するのか」から読んで、更に発展する方がいいかもしれませんね。

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