昨日の『神々の沈黙』に続いて『イラク水滸伝』。
著者の高野さんはイスラム圏の酒を巡る旅など、独特の世界旅行記を書かれている方で、その著者のこんなタイトルがある時点で「これは女房を質に入れてでも買わねば」的な感じではありましたが(中野さん亡くなられたそうで……合掌)、諸々の事情があって購読は二か月延期になりました(汗
イラクの南東部の広大な湿地帯、日本でなじみのある地名で言うならバスラの北西側にあるという湿地帯の旅行記ですが、もうとにかくイラクとメソポタミア文明の奥深さの一端を味わえます。
正直、私もこれ読むまで「何だかんだ言ってイラクって砂漠が多いんだろうな」と思っていて自然豊かな場所が広がっているイメージは全くありませんでした。
旅行記的なものですから、ある程度ライトな書体ですし、タイトルに水滸伝とある通り水滸伝的雰囲気を意識して書かれているので、それほど読みづらさもないと思います。
旅行記が主ですのであまり深く触れられてはいませんが、ところどころに現代イラクの情勢なども触れられていて、中東の在り方なども考えさせられる本ではあります。
この本とジャック・アタリ氏の中東論などを合わせて読むと、今再燃しているイスラエル問題や中東問題に違う考え方が投げかけられるかもしれませんね。