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同題異話SR-Oct.-に参加いたしました。(小噺つき)

こんばんは、今月はちょっと遅れて参加となりました。

10月同題異話SR-Oct.-
『珈琲は月の下で』
https://kakuyomu.jp/user_events/1177354054922773756

今度は名詞が二つ、と映像が思い浮かびやすいお題ですね。
さて、今回は水面下の長編の方の創作を優先させるということを前回の近況ノートに書いたのですが(でもって先走ってもう出しちゃったんだけど)、タイトルだけは10月1日に確認していました。
そこからぼんやりと思いを巡らせていたんですけども。

私にとってコーヒーというと、毎日飲んでいる非常に身近な存在です。
どういうときに飲む珈琲が美味しいかと言えば、仕事が一段落ついたときとか、それこそ物語のキリのいいところまで書けたときとか、とにかく一息ついたときですね。

「はー、やれやれ」~~Uo( ̄▽ ̄*)

↑これ! この状態です。
でも、今回は『珈琲』だしな。渋みがあるし、ちょっとレトロ感もあるな。
落ち着きがあるというか……。
そうだ、刑事さんが寒い冬に張り込みをしているときに啜る珈琲の感じかな?
……あれ? それは牛乳とアンパンだったっけ? ( ̄o ̄;)

まぁとにかく、その辺から派生したイメージで真っ先に思いついたものは、明るいポップ系と暗いファンタジー系。
最近はシリアスが続いていましたし、本当は明るいポップ系を書きたかったんですけど。
でもここで、思い出しました。
「三人称の練習をせねば」( ̄~ ̄;)
と言っていたことを。

合わせて、ちょっと別サイトの方で一人称と三人称の話になったとき、
「バトル描写は三人称の方が書きやすい」
という話が出ていたんですよ。

なるほどな、と思って。
確かにアクションはカメラは引き気味というか、その立ち回りを客観的に描写した方がいいですよね。
一人称だと、敵の動きとか見えないものは見えないですしね。バトルとなると、何をしているかわからなくなる可能性があります。

それで、
「三人称が活きるバトル描写が入ったものを書こう」"o( ̄皿 ̄;)
と一大決心し(バトル描写も苦手)、暗いファンタジー系をチョイスしました。

プラス、もう一つ自分に課したお題がありましてね。
「現実世界と全く関係のないファンタジー、書いたことないな」
というのも実は内心引っ掛かっていたんです。
いわゆる現地主人公、というやつですね。

苦手な三人称で、苦手なバトル描写を、やったことない現地主人公で書く、という挑戦だらけの10月となりました。
形になってるといいなー。( ̄▽ ̄;)

『残酷描写有り』『暴力描写有り』のレイティングをつける作品を書くことになるとは思わんかったな。
この辺は、同題異話SRならではですね。

……しかし。
考える時間が二週間と長かった分、話が完全に決まってから書いたんですけどね。

かかった時間、8時間! Σ( ̄◇ ̄;)
4700字程度だというのに8時間!
文字に起こすだけなのに8時間!

ちなみにこれは一発書きにかかった時間で、推敲を入れると10時間ぐらいかかりました。
三人称、苦手過ぎる……っ!o(_ _;)

そんな訳で、ボツにした『明るいポップ系』も書いてみることにしました。
こっちは話の性質上、絶対に一人称なんです。
だから一瞬流れかけたんだけどさ。( ̄ε ̄;)

せっかくなので、ここに貼っておきます。
それでは、ドウゾー。\( ̄▽ ̄*)


   ◆◆◆


 サイフォンに入れた水がコポコポと音を立て、上へと上がっていく。
 この音を聞きながら手帳に明日の予定を書き入れるのが、僕の夜の日課になっている。

 やがてプウンと炭焼珈琲のいい香りが僕の鼻腔をくすぐった。
 ちらりと視線を送ると、珈琲の抽出が始まり、ポタポタとサイフォンに溜まってゆく。

 今日は仕事もはかどったし、帰りの電車も混んでなくて椅子に座れたし、本当にいい一日だった。
 ……あ、いや、まだ終わってないか。

 今日のページの余白に目が留まり、ボールペンを置く。時計を見ると、午後十時過ぎだった。
 思ったより長く休憩してしまった。急がなくては。

 慌てて手帳をバッグパックにしまい、椅子から立ち上がる。台所にいって食器棚の下からステンレスボトルを取り出した。
 抽出を終えた珈琲をステンレスボトルに移す。一口味見しようか、と一瞬魔が差しそうになるが、我慢我慢。
 最高のシチュエーションでこの炭焼珈琲を味わいたい。

 バッグパックに財布を入れて背中に背負うと、僕はボトルを片手にアパートを飛び出した。

   * * *

 自転車を漕ぎながら、夜空を見上げる。今日は下弦の月だから、まだ昇り始め。東の空の住宅街の屋根のすぐ上のところに、半月が寝ている。

「は、は、くしゃん!」

 しまった、風邪をひいたかな。
 最近、急に気温が下がった気がする。歩いているときは何てことのない夜風も、自転車に乗っているときに浴びると妙に冷たく感じる。
 明日からはトレーナーにした方がいいかもしれない、と考えながらペダルを漕ぐ足に力を込めた。

 いつもの道を颯爽と走り抜けると、いつもの見慣れた景色が目に飛び込んだ。
 いつもの公園の脇に自転車を止め、いつものように白いU字型の車止めの上にお尻を乗っける。
 ステンレスボトルの蓋を開け、いつも飲んでいるアツアツの炭焼珈琲をカップに注ぐ。

 ああ、いい景色だ。連なる暗い屋根と、ひときわ輝く下弦の月。
 毎日見ていると月の微妙な変化は分からない。だけど確かに、一週間前はまんまるだったな。
 もう大半の人は寝静まっている。明かりの点いている家は殆どない。だから余計に、月が綺麗に見える。

 炭焼珈琲の香りを存分に楽しみながら、カップに口を付ける。
 ああ、あったまるなあ。

「……はくしょん!」

 しまった、またくしゃみが出てしまった。
 やっぱりこの格好じゃ寒かったか、と少し後悔したけれど、僕はこの場を離れる訳にはいかない。
 喉を通っていく珈琲の渋みを楽しみながら、もう一度目の前を見上げる。

 下弦の月のすぐ右手には、二階建てのアパート。こちらも殆どの部屋が真っ暗だったが、二階の一番右側だけは電気がついている。
 ――マリコさんの部屋。

 飲み終えたカップを振り、一度ボトルに蓋をする。バックパックを身体の前面に持ってきてチャックを開き、手帳とボールペンを取り出した。

 マリコさんの帰宅は、いつも夜の十時過ぎだ。特に金曜日は仕事が立て込むことが多いのか、0時近くになることもある。
 何しろ、昨日はずっと部屋の明かりが消えたままだったのだ。帰ってきていないのかそれとも僕が来るより早くに寝てしまったのか判断がつかなかったから、僕は3時間ほどずっとこの場所にいてマリコさんを見守っていた。
 おかげで風邪をひいてしまったみたいだけど、マリコさんのためにひいた風邪だから全然辛くはない。

 それもあって、今日は絶対にマリコさんに会いたかったから仕事も頑張った。いつもなら二日はかかるデータ処理を一日で終わらせ、きっちり定時に上がってマリコさんの会社の前にある喫茶店に行った。
 いつも飲んでいる炭焼珈琲は、そこのマスターからお裾分けしてもらったもの。マリコさんに会うときはいつもこの珈琲を飲んでいるから、これがないと落ち着かない。

 そして、マリコさんが八時過ぎに会社を出るところを、この目でちゃーんと確認した、という訳さ。
 そのあとも、マリコさんは真っすぐに駅に向かって電車に乗り、真っすぐこのアパートまで帰ってきた。
 ……となると、マリコさんの今日の就寝時間は十一時頃だろうか。レンタルショップにも寄ってなかったから、DVDを見て夜更かしすることも無いだろう。

“予想:十一時二十三分”

 手帳の今日の日付のところにそう記し、顔を上げる。マリコさんの部屋のカーテンが少し揺れた気がした。
 同時に、僕の心臓の音も跳ね上がる。

 ま、まさかカーテンを開けてくれるんだろうか? 頑張った僕に、そんなご褒美が? どうしよう、ドキドキするな。
 いつもピシッとしたスーツを着ているマリコさんだけど、部屋では何を着ているのかな。パジャマかな。それともスウェットかな。
 僕の好みとしては……いやいや、そんなことを考えるのはおこがましい。マリコさんなら何を着ても似合うはずさ。

「あー……ちょっと、君?」

 何だよ、僕はマリコさんのことを考えるのに忙しいんだ、と思いながらしぶしぶアパートから視線を下ろす。
 濃い藍色の制服を着たお巡りさんが、僕の顔をじっと覗き込んでいた。

「ちょっといいかな?」
「何ですか?」
「怪しい人間に付きまとわれている、と通報があってね」
「怪しい人間? 僕は見てませんが」
「いや、君だから」
「え?」
「通報されたの、君は」
「え? え?」
「ちょーっと一緒に来てもらおうか」
「え? え? え?」

 僕はお巡りさんに腕を取られ、強引に立たされてしまった。
 そのまま引きずられるようにパトカーへと連れていかれる。

 待って、待って。僕はアパートの傍から昇る月を見上げて珈琲を飲んでいただけの人だよ。
 どうしてこんなことに?

 マリコさん、ごめんね。ちょっと待ってて。
 僕、すぐに戻って来るからね。そして、ちゃんと見守り続けるから。
 不安がらないで。

 でも、今度はマリコさんが待つ番だね。想像するだけで楽しいな。
 僕が帰ってくるのを、ちゃーんと待っててね。


   ◆◆◆


こっちは1時間ぐらいで書きました。( ̄▽ ̄;)
2300字ぐらいと短いですけどね。だとしても差がありすぎやろ。

ただこれを採用すると、ストーカーネタ2回目ということで
「ストーカーが好きなの?」
と勘違いされそうですし。(ミネルヴァ入れると3回目)

違うんです、ストーカーが好きな訳じゃなくてセーフとアウトの境目のギリギリを探ってる感じなんですよ。(; ̄▽ ̄)ノシ

そのためにはストーカー心理をある程度理解する必要がありますし、
「こんなもんだとギリアウト? ギリセーフ?」
と読んだ人にヒかれないギリギリを書く練習をしているといいますか。
読後感が気持ち悪すぎるのは嫌だなー、と思ってねー。φ( ̄o ̄;)

……そうだ、奴らに読ませてみるか。!( ̄- ̄*)

   * * *

莉子
「うわぁ、ヤバ!」

新川透
「まぁ、相手に気づかれるようじゃ失格だよね。確かに有害だ」

莉子
「え、そういう問題? 有害か無害かなの?」

新川透
「そういう問題でしょ。相手の恐怖心を煽るからストーカー認定されるんだ。気づかれなきゃ何も起こってないのと同じ。無害だよね」

莉子
「えー、えー? そうかなあ?」

新川透
「そうだよ」

莉子
「いや、無害じゃないよ! 待ち伏せされたとき、すんごく怖かったんですけど!? ホテルのラウンジに現れた時も!」

新川透
「あれは、莉子に分かりやすく教えてあげたんだよ。バレたんじゃない、バラしたんだ」

莉子
「……ん? ん? ん?」(←混乱中)

新川透
「ふふーん♪」(←得意気)

   * * *

……という訳で、新川透はギリセーフ、というのがカセユキ見解です。d( ̄▽ ̄*)

※2020年11月30日22:55追記
この小噺を「小説家になろう」に転載いたしました。(『珈琲は月の下で ~現代ドラマ~』)

2件のコメント

  • (* ̄∇ ̄)ノ ふふふふふ、共に極めましょう、このストーカー道を。月とコーヒーとストーカー、いいですね。風流です。うふふふふ。
  • 誰もストーカー道を極めるって言ってない! \(`△´;)

    ただミネルヴァを書くにあたり、相手役である新川透がヒかれないラインってどの辺だろう、と考えているだけです。(今後も気が向いたらSSを書くかもしれないので)

    「ヤバい」
    と思われてもいいが、
    「キモい」
    と思われては駄目なんです。
    そこのラインが難しいなー、と。

    ……あれ? 私はどこを目指してるんだろう……? ( ̄。 ̄;)
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