作品世界観自体は2021年8月頃に思い付きました。8月当初では全く別の作品を考えており、現在もそれは構想中ですが、今一つ書きたい話の方向性が定まらず、お蔵入りしそうな勢いです。温めすぎて腐らないことを願うばかりです。
この話の一部を思い付いたのは21年10月。骨子の完成が本年6月末頃。世界観の説明と書きたい話の分量配分が難しかったですが、説明を会話の形でなしてしまえばいいことに気付いてからはすんなりと筆が進み、7月頭の執筆開始から2ヶ月程度で完成まで漕ぎ着けることが出来ました。
さて、作品の後半、飛行位置を変換して作為的にニアミスを起こすように仕向けていますが、これはVFR機ならまだしも、航空路を飛行する、大気圏内の実際の航空機であれば起こり得ません。
というのも、航空路はIFR(計器飛行方式)飛行をする航空機のために設定されていますが、反航する航空機どころか、同時間帯に細かく分けられたセクター内を飛行する航空機の高度が鉢合わないように各機毎に管制機関が1000ft単位で高度を指定しています。この高度を300ft以上逸脱すると管制指示違反となり、パイロットの資格が停止されるなどの処分が待っています。嫌ですね。
過去には、航空路付近で戦闘訓練をしていた自衛隊機が雫石上空で全日空機に衝突したり、ユーバーリンゲン上空で管制ミスにより旅客機同士が高高度で空中衝突する悲惨な事故が起きていますが、原則として管制機関が航空路レーダーで常時モニターしてコントロールしているので、まずそもそもニアミスすら起こりにくくなっています。
また、旅客機にはT-CASと呼ばれる接近警報が搭載されており、一定の範囲内に航空機が近接すると、警報が作動します。これが作動するとT-CASが上昇降下、左右旋回のいずれかの指示を出します。これは回避操作に該当するので一時的に指定高度を逸脱してもよいとされています。
因みに、T-CAS搭載機同士がニアミスした場合、それぞれの航空機でお互いに遠ざかる方向に回避指示を出すように設定されています。
とまあ、我々が日頃乗ることのある航空機はこうした安全策が取られていますが、宇宙空間では・・・・・・?その発想が本作執筆のきっかけの一つでした。
着想の過程では、アニーが優秀でエリーが並かそれ以下くらいの人間なので、殉職後に「優秀な方が残ればよかった」くらいの陰口を叩かれるくだりを挟もうかと思いましたが、いくらなんでもそんな悪魔みてえな人間のいる阿修羅のような職場にしたくなかったので没にしました。
というか、そんなん耳にしたら奮起するどころか立ち直れんわ。
しかしながら、「私は貴女にかつての幼馴染の面影を見た」なんて30年越しの感情を20歳そこらの新人にぶつける女って冷静になって考えなくても大概やばいですね。しかも相手まだ当時生まれてすらいないですからね。
あと、最後のシーンにいなかった、エリーのクローンの子供について。性別も年齢も、現在何をしているのかも考えてませんが、とっくに成人はしていて、休暇が咄嗟に取りにくい職業かなあ、とは思います。
というか船員みたく、カレンダー通りじゃないタイミングで休暇を取ってくるような職業に合わせた休暇を取れる職業なんてそうそうない気もしますが。
同じく不在だったアーニャ父もそんな感じですが、どちらかと言えばサラリーマンのイメージです。この後、ちゃんとアーニャ親子はディリンハム家に帰ります。
そういえば、書き終えてから気が付いたんですが、下士官の階級、兵曹だと海軍の階級制度ですね。
一応設定上は空軍から独立した組織なので、空軍の階級制度でないと変なことになります。
まあいいや。その辺はおいおい考えます。
と、書きたい要素を大概ぶっ込んだ作品になります。こんな感じで今後も多分考証の詰めが甘いまま、のびのびと作品を書いていくと思うので、またお付き合い頂ければ幸いです。