「ま~が~み~に~そ~!」
真上のスマートフォンから、脳天気な声と背後から賑やかな雰囲気が伝わってくる。
「あ・・・あの・・・海幕長?」
「な~に~?」
少し間をおき、息を大きく吸い込む真上。
「一体、何時だと思ってるんですかぁ!!」
『うるさいわね!そっちも何時だと思ってんのよ!!』
大声で怒鳴りつける真上に、隣の部屋から間髪入れずカウンターが帰ってくる。
隣に向かって「すみませんでした」と謝罪すると、改めて月夜野に少し声を抑えて話す。
「海幕長のせいで怒られたじゃないですか!」
「いやいやぁ、おおごえをぉ~だしたのわぁ~、まがみにそーじゃないれすかぁ?」
「海幕長?もしかして・・・酔っぱらってます?」
「ずうぇ~んずうぇん、よっぱらってないれ~すよ~?らいじょ~ぶれすか?まがみにそ~?」
完全に出来上がった酔っ払いほど『自分は酔っぱらっていない』アピールをするものである。
「ナレーションさんに言われてますよ?」
「いいじゃないれすか~!【ある所】のかたとぉ、おはなしできてぇ~、た~のしいきぶんなんれすからぁ~、みずささないで?ね?まがみぃ?」
「マジですか?!【ある所】の方って、あの【ある所】の方ですか?それと、エルキャックちゃんの物真似しても、全然似てないですから!」
「そう?08ちゃんにぃ、にてないのかぁ~・・・しょっく・・・・・・」
背後の喧騒は聞こえるが、月夜野の声は聞こえなくなった。
「寝ちゃったの?・・・あぁ!もう!イヤ!」
次の瞬間、電話をきり、月夜野がよく出没していると聞いた居酒屋に、歩いて迎えに行く真上の姿があった。