今回は本作に登場する魔王バアルこと、ノエル・ノースフィールドについて紹介します。
彼は幼少の頃、魔剣として再びこの世界に転生してきた魔王バアルに魅入られ憑依されてしまいます。
それによりノエルは、伝説の勇者ルキウスの末裔にして先祖代々から続く聖剣エクスカリバーの担い手なのにも関わらず、岩場に突き刺さるその聖剣に拒絶されてしまいます。
なぜなら彼は、漆黒の魔剣バアルに憑依されてしまったことにより、幼子にしてすでに闇の力に堕ちてしまっていたからです。
ノエルは長年に渡り自己の意識の中で、思念体として存在し続ける魔剣バアルから、世の中の摂理や道理などあらゆる物事の真理を学びます。
そして手足が伸び切った年の頃には、魔王としての大いなる闇の力・暗黒闘気を克服するほどまでに成長します。
その彼が魔王として覚醒するきっかけは、皮肉にも聖剣の担い手として守護すべき主君・祖国オーガスタ王国・国王アンドレによる、故郷の街ノースフィールドへの飛竜騎士団の侵略でした。
そのアンドレ率いる飛龍騎士団の侵略により、静かだったノースフィールドの街は、たったの数分で大火に包まれてしまいます。
怒りに打ち震えたノエルは漆黒の魔剣バアルを召喚。そしてその召喚した魔剣バアルに自らの身を委ねます。
魔剣バアルの思念体と融合したノエルは自らを魔王バアルと名乗り、さらに召喚した大勢のオークたちを使って、飛龍騎士団だけでなくノースフィールドの街の人々にも危害を加えます。
それに伴いノエルは、本編の主人公ルカの愛する女性オリビアを殺害してしまいます。
その後彼は、天空の国スカイ・ガーデンを侵略し、天空の国の王ガーゴイルとその妻エルドラを殺害します。
そして二人の娘リリを無理やり自らの家臣にし、天空の国スカイ・ガーデンを自らの拠点とするために占領します。
ガーゴイルの娘リリは、当然のことながら魔王バアルであるノエルを親の仇として恨みます。
けれどもリリは、彼の不器用ながらの優しさに触れ、いつしか恋心を抱くようになります。
そんなことからリリは、両親を殺害した彼への憎しみとその彼への恋心の狭間で、絶えず葛藤しながら苦しみ続けることになります。
後に仲間になる三魔将の三人もまた、ノエル自身の心優しい人間性を気に入り、その全員が自ら好んで彼の配下に加わります。
そんなことから、そんな心根の優しいノエルは、魔王には向かない人物なのです。
それはもはや、彼には魔王としての素質が無いと言っても過言ではありません。
そしてそれから後に彼は、叔父であるアーロン・ノースフィールドにより、聖剣カーテナの呪いで闇の力を弱体化させられてしまいます。
魔王としての素質が無い上に、肝心の魔王としての闇の力・暗黒闘気までも弱体化させられてしまうという不始末。
魔王バアルことノエル・ノースフィールドはどこまでも運の無い可哀想なキャラクターなのです。
しかし彼がどんなに人間性が良く運の無い可哀想なキャラクターだとしても、魔王という存在はどこへ行っても悪なのです。
なので悪である魔王は、最後には正義の鉄槌を喰らい、悲惨な最期を遂げなければなりません。
それが世の中の摂理だと思います。