蒼光のバアルブレイカー78話から93話までのエピソードは、戦争の残虐性やそれにより生まれる悲劇をテーマにして書きました。
世界のリーダー的存在であるはずの同盟国ピーシーズ・ユニオンが、物語の主人公ルカの知らない遠い土地で戦争を起こし、街を破壊したり虐殺行為を行ったりするエピソードです。
そのエピソードにおける主役は、物語の主人公ルカではありません。
エピソードの主役は、ルカの仲間であるイヴァンと、侵略される側の国クリュセにある小さな村タソに住むアムリという一人の既婚者の女性です。
タソ村に住むアムリは、戦争に巻き込まれ絶望と悲劇に苛まれます。
その一方で、イヴァンはピーシーズ・ユニオン国側からの視点で、その悲劇の光景を目の当たりにします。
執筆の中で鬱展開や残酷描写を表現したりするのは、僕にとってはある意味病気みたいなもので治すことのできない悪癖です。
エピソードを書いてカクヨムに投稿し始めた丁度その時期に、ロシアとウクライナの戦争が始まりました。
そんなこともあり、自分のやってることは不謹慎ではないかと思い、そのエピソードを書くのを止めようかと思いました。
しかし書き始めた以上は、最後まで書くということを信念にしているので、そのまま投稿を続けました。
しかし悪癖半分、興味本位で書き始めたことをすごく後悔しました。
残酷描写を考え出すのは悪い意味で非常にエネルギーを消耗します。そして思考自体も悪い方に影響されがちになってしまいます。
その上ウクライナとロシアの情報が嫌でもメディアから入ってきたので、この時期はすごく鬱っぽくなってしまっていました。
エピソードを書き終えてから思ったことなのですが、やはり戦争からは悲劇しか生まないということ。
時には何かのために命をかけて戦わなければならないことがあるとしても、それは決してカッコイイものと片付けてはいけないような気がします。
端くれだとしても、バトルものを書いている者が言うセリフではないと分かってはいるのですが……。
そう思いました。