去年の、今日。
2022年12月13日。
病院かなにかでお休みでした。
その日はずっと家にいたのです。
朝のパン焼いて、食べて。
食べてる間も、なんだかふわふわしてて。
いま天気調べたら、その日はくもり。
でも、室内がすごく明るかったの、覚えてる。
お皿を片付けてるときに、彼女は現れました。
映像が見えたんです。
栗色の長い髪。
同じ色の瞳。
お城のような場所、炎のなかで。
彼の背中に手をかけて、振り向かせて。
重なった唇が、世界のすべてを塗り替えて。
なんだこれ、ってなりました。
そのひとの名は、知らなかったのです。
でも、すぐに、知っていることを想い出しました。
エルレア。
午前中の片づけをして、座って、パソコン開いて。
創作として文章を綴ることは、もうずっとしていません。
なのに、文章が。言葉が、並ぶ。
当たり前のように、3400文字を書ききっていました。
一時間もかからず書いたように覚えています。
不思議な感覚でした。
そのしばらく前から、大きなコンテストの告知が流れてきていました。カクヨム、というサイトをそれで初めて知ったのです。
でも、登録する気が起きなかった。
わたしは、ずっと、自分がおはなしを書く人間だと認識していましたから、いつかどこかで、再び物語を綴ることがあるのかもしれない、そうあればいいなって、思ってきました。
でも、いろいろのことがあって、あきらめていたんです。
書く時間なら、あった。
でも、だれ一人読んでいただけないであろう作品を作るのに使うエネルギーが、惜しかった。その時間があれば、寝ていたかったし、仕事もしたかった。
長い時間を、生活に必要ではない処理にとられるのが、辛かった。
だから、あきらめていたというのは精確な表現ではないのです。
わたしが望んで、それを絶った。
エルレアは、向こうから、わたしに笑いかけてきました。
わたしを待つのではなく、彼女から、わたしの手をとった。
ね、出して。ここから。
その日に書いた3400文字は、長いおはなしの第一話にすることとして、カクヨムにユーザ登録をしました。冷蔵庫の前で作業してたから、振り返った時に貼ってあったリハビリのメモに書いてあった、何々先生、1単位、という言葉が目について。
それから一年間。
その言葉は、わたしをあらわす名前として、わたしの大事なおはなしたちに添えられ、たくさんできた繋がりさんに呼んでいただき、あるいは、その言葉をコンテストの発表画面で探して、無くて泣いて、見つけて泣いて。
その言葉は、わたしの人生でもっとも大事な呪文のひとつになりました。
壱単位。
わたしの名前は、壱単位。
次の一年間も、たくさんたくさん、呼んでいただけるのかな。
呼んでいただけるように、たくさん笑って、たくさん泣いて。
いろんな顔、見ていただこう。
これからもどうか、よろしくお願いいたします。