嫌われ松子の一生、すごく、好きなんです。
まあなに見てもわたし泣くから、泣いたよ、ってお伝えしてもミリも感想つたわらないよね。だから、ちゃんと、ことばにする。
生きて、生きて、生きる。
ただしいも、あやまりも、ない。
ただ、生きているのだから、生きる。
生きていて、気持ちがあって、だから、気持ちに沿って。
感情がわれて、飛んで、暴発して。
なにが正常か、なにが異常かなんて、意味をもたない。
ただ、ただ、生きて。
そうして、おわって。
無惨に、無惨に、終わらされて。
生きる、がわからないように、幸福も、不幸も、わからない。
生きる、をしらないように、死もしらない。
そのなにが、不都合なのか。
そのなにが、誤っているのか。
養鶏場に首を揃えて餌を啄む鳥たち。
吊るされ、適切な部位にわかれてゆく、けものたち。
交差点をわたるサラリーマン。
扇風機のかぜが線香を揺らす。
やまに降る光が、木の根の、遺骸をあたためる。
海。
空。
ゴミ箱に堆く積まれた、悪臭のするビール缶。
ゆれる風。
綿毛。
嘔吐。
夏の空。
ひまわり。
揚羽蝶。
摂理。
砂。
蜃気楼。
そうして、赦し。