📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」(異世界ファンタジー)
(「第4回一二三書房WEB小説大賞/コミカライズ賞(コミックポルカ)」受賞)
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346ご愛読ありがとうございます。
📖「第687話 お嬢さん、ちょっとお話していい?」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818622173055284787🗒️「あのう……。この|短杖《ワンド》はどういうものですか?」
「あ、ちょっと待ってね」
店の奥を片付けていたプリシラは、短杖を手にした女性客の元に向かった。
「魔法が付与されていることはわかるんですけど、何の魔法かが読み取れなくて」
客はまだ10代後半の若い女性だった。
最近流行の動きやすい服を身に着け、膝下までの長靴、革鎧、革手袋に身を固めていた。その上にマントをまとっているのは、野営を伴う旅をするためだろう。
この客ばかりでなく、近頃はこういういで立ちの旅人が増えた。プリシラは旅などしたことがないので、多少うらやましい思いで彼らを見ていた。
「この|短杖《ワンド》には基本生活魔法が籠められているんですよ」
「ええ? 生活魔法ですか?」
女性客は残念そうな顔で短杖を棚に戻した。
どうやら生活魔法がお気に召さなかったらしい。
心の中で小さくため息をつきながら、プリシラは客が手放した短杖を手に取り清潔な布で磨き始めた。……
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お楽しみください。