📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
(「第4回一二三書房WEB小説大賞/コミカライズ賞(コミックポルカ)」受賞)
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346+++++
🎬「ハリウッドよ、これが異世界ファンタジーだ!」✨
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📖「第619話 戦場での『必殺』とはそういうものです。」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093088197737770📄「むう……見た限り話にならないなぁ。『内気功』を使っただけでこの始末だろう? この上『外気功』とやらを使ったら5人がかりでも相手にならないんじゃないか?」
「そうでしょうね。ですが、物事には中途半端に終わらせるべきでない時があります。過ちをただすなら徹底的に行うべきでしょう」
勝負にならないドリーの戦いぶりを見て、ドイルはもう観戦に飽き始めていた。彼の目から見れば既に十分なデータが取れており、これ以上は時間の無駄に思える。
それに対してマルチェルは「やるなら徹底的に」という考えだった。
言い訳の余地を残さず、完膚なきまでに叩きのめす。
「騎士だ、剣士だと気取っても、武術なんてものは野良猫の喧嘩と変わらないところがあるのです。どちらが強いのかをはっきりさせておかないと、後々禍根が残ります」
「くだらない意地の張り合いだねぇ。精々手っ取り早く決着をつけてくれることを期待しよう」
聞えよがしな2人の会話はシュルツ団長の耳にも届いている。子飼いの騎士たちが女性剣士1人に手玉に取られているのだ。「反魔」だ、「抗気」だという立場など関係なく、王立騎士団としてのプライドが傷ついていた。
「ご来客は本気の立ち合いを望んでおられる。王立騎士団の本気とは『必殺必勝』あるのみ! 5名の団員は死地にあると思って立ち合いに臨め!」
社交辞令や騎士団長としての余裕をかなぐり捨てて、シュルツが吠えた。
5名の反魔抗気党メンバーは互いに顔を見合わせると、盾を捨て、剣のみを引っさげて進み出た。
「ふむ。マルチェル、盾を捨てたことに意味はあるのかい?」
あえて防御力を下げるような振る舞いを見て、ドイルが疑問を口にした。
「あれは彼らの|本《・》|気《・》です。5対1だからこそ盾を捨てたのです。受けの一手を捨てて、相討ちになろうと敵を斬る。戦場での『必殺』とはそういうものです」
当然のことを語る口調でマルチェルは言った。……
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お楽しみください。