📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
(「第4回一二三書房WEB小説大賞/コミカライズ賞(コミックポルカ)」受賞)
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🎬「ハリウッドよ、これが異世界ファンタジーだ!」✨
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📖第609話 一般有意性理論を覚えているかね?
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093086759533514📄波といえば、まず水面を走る波紋を思い浮かべる。この時の|媒質《ミディアム》はもちろん「水」だ。
よく見るとわかるが、水は上下に動いているだけで波紋と共に水平に広がっているわけではない。
それでいて「波」は水の動きによって水平方向に移動するのだ。
「ID波についてもこれと同じだ。物質界とイデア界に共通した|媒質《ミディアム》が存在する」
「それがアバターだということですか?」
結論を急ぐマルチェルを睨みつけて、ドイルは唇を曲げた。
「説明には順序というものがある。話を聞き給え」
ID波を伝える|媒質《ミディアム》、それは「|因力《いんりょく》場」である。
「原因(因)」と「結果(果)」の間に存在する引き合う力、それが因力だ。
「イデア界について語った際、因力については説明していたね?」
「確か因力とは魔力と同義だと聞いた気がします」
「一般有意性理論を覚えているかね?」
「|意子《イドン》は物質界とイデア界に同時存在し、物質界では疑似物質として振舞いイデア界では非物質として振舞う、と」
まるで教室で教師の質問に答える生徒のように、マルチェルはドイルの質問に答えた。
「合格だ。よく覚えているじゃないか。ならば、ID波の|媒質《ミディアム》が因力場だと聞いて不思議に思わないかい?」
クイズを出す教師の顔で、ドイルはマルチェルに問いかけた。
「待ってください。イドンとはイドを構成する微粒子でしたね? イドは存在の本質であり、『無意識の自我』でした。魔術や魔法とは意志によってイデア界に干渉し、因果関係を改変するもの。因果関係の本質は因力……」
マルチェルは額に手を当てて考え込んだ。
答えに近い所にいるのに手が届かないもどかしさ。何かが足りない。……
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お楽しみください。